出版社内容情報
猫のハンナと研究室で暮らす変わり者講師・森川。ある日学長にスパイ探しを命じられ、次々起きる大学存亡の危機に立ち向かうことに!
内容説明
狙われた大学公印、学生自治会長選挙の不正疑惑、大学御用達の定食屋の後継者問題、女子生徒の洋服盗難、学生への不公平な単位付与―森川とハンナが辿り着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは?優しい涙が溢れる傑作!
著者等紹介
相川英輔[アイカワエイスケ]
1977年千葉県生まれ。西南学院大学大学院修了。2005年第35回九州芸術祭文学賞佳作、13年第13回坊ちゃん文学賞佳作、15年第46回福岡市文学賞小説部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chatnoir
27
表紙に惹かれて読みました。専門系大学の文学の講師と 学生の自治会長である才媛と 就職の内定はもらったものの一般教養の単位を取り落とすと卒業できないギリギリ君の学園ミステリー。今は学校同士で熾烈な足の引っ張り合いが行われているのか...ビックリ。タイトルから悲しい結末を予想しましたが、読後感は良かった。職場に犬とか猫のいる環境っていいなぁ。庶務課長は頭が痛いだろうけど(笑)2020/11/24
tosca
24
初読みの相川英輔さん、SFの人だと思い込んでいて、SF的な内容を期待して読んだら違った。でもタイトルのハンナが猫の事だとは知らずに読んだので猫好きとしてはOK。しかし内容はちょっと軽いような…。優しい話ではあるが、有り得なさそうな設定が説得力に欠ける。でもサクサク読めるし、そんなに嫌いじゃないし、著者の猫好きな感じも分かるので良しとする2023/11/03
coco夏ko10角
20
高校が舞台の青春ミステリー小説は多々あるけど、大学のは少ないのでその点よかった。でも最後は話が大きくなってしまったしなんだかモヤモヤするスッキリしない終わり…。2020/07/03
本の蟲
13
内定が出たものの、一般教養『文学』の出席が足りないミステリ好きの大学生、佐藤。大学庶務課の苦情を聞き流して研究室で猫を飼っている変人文学教授、森川。この二人を軸に、大学内の派閥争いや他大学のスパイ、その他日常の事件を解決する短編連作。すらすら読めるが、最終話にあたる表題作は、今まで泰然自若だった森川のキャラがぶれているうえ、事件はよそで勝手に解決していたので少々不満。同作者、SF短編集『黄金蝶を追って』が気に入ったので本作も手を出したが、上記タイトルほどの魅力はなかった2023/12/01
タカラ~ム
13
研究室でハンナという猫を飼っていて、『穏やかな狂人』とあだ名される大学教員の森川を主人公に、大学内で起きるさまざまな事件や疑惑を描くミステリー小説。学内スパイ疑惑、学生自治会長選挙の不正疑惑、定食屋の後継者問題など、起きる事件は些末なものから大学として深刻なものまで。森川はそういった事件と関わりたくないのに巻き込まれてしまい、最後には自分が騒動の中核に突き落とされてしまう。森川をはじめ登場人物が魅力的。何よりハンナの存在感がいい。シリーズ化を期待したい作品です。2020/06/27