出版社内容情報
「小説的身体」を創るためのすべてがここに――デビューから12年、全身を「小説」に捧げて来た磯﨑憲一郎・全思考。
内容説明
受賞の言葉、文庫解説、新人賞選評、受賞記念対談etc.対談・青山七恵、石原千秋、佐々木敦、佐々木中、辻原登、中島岳志、蓮實重彦、羽生善治、保坂和志、横尾忠則他。朝日新聞「文芸時評」2017‐2019。
目次
受賞の言葉 文藝賞受賞の言葉
エッセイ 受賞という事実よりもはるかに重いもの
インタビュー “本流”の世界文学を書く!
対談 保坂和志×磯崎憲一郎―風景を描くことによってひらかれる世界
インタビュー ブッダの物語を描く
書評 小説生成の根源に触れる―小島信夫『小説の楽しみ』『書簡文学論』
エッセイ 古墳公園
アンケート 私の「海外の長篇小説ベスト10」
エッセイ 「向こう側」への見事な飛躍―ムージル『三人の女・黒つぐみ』
受賞の言葉 芥川賞受賞のことば〔ほか〕
著者等紹介
磯崎憲一郎[イソザキケンイチロウ]
1965年生まれ。2007年『肝心の子供』(河出書房新社)で第四四回文藝賞を受賞しデビュー。著書に『眼と太陽』(河出書房新社/芥川賞候補)、『世紀の発見』(河出書房新社)、『終の住処』(新潮社/芥川賞)、『赤の他人の瓜二つ』(講談社/ドゥマゴ文学賞)、『往古来今』(文藝春秋/泉鏡花文学賞)がある。現在、東京工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
7
タイトルはどこを切り取っても同じテーマが語られてますよ〜という意味だ、ろうな。2007から2019に掛けて語られてきた磯崎憲一郎の味わいどころ。この飴、かなり美味しい飴ですよ。ある系譜に基づいた文学史が語られていて、その中で、その間で小説を書くことの勇気が確信をもって語られる。また、新海誠監督が『天気の子』について「トラウマで駆動する物語にしないようにした」と語っていたが、磯崎の見据える小説の夢も同じ色味がある。じっさい彼は「トラウマ系」としてある種の小説群をまとめていて、それらを突き離す身振りを見せる。2020/06/08
マカロニ マカロン
4
個人の感想です:B。わずか104頁の『肝心の子供』を理解するために、511頁もある著者の対談や評論を一冊にまとめた本書を読んだ。1/29に「小説とは何か」という講演も聞く機会があった。本作は表題通りどこを切っても著者の主張は一貫している。「小説とはストーリーではない。大事なのは語り口であり(中略)違和感がいつの間にか納得感にすり替わってしまう、その不思議な語り口にある」という『文字渦』(円城塔)への批評(朝日新聞文芸時評)に代表される。純文学とエンタテインメント小説を一括りにする無謀さを説いている。2020/02/29
kentaro mori
4
半分保坂和志の本だと言ってもいいくらい、保坂和志が登場してもしなくても、保坂和志が響き続けている。この本を読むと問答無用に小説が書きたくなる。だから読み終わって、書き始めた。2020/01/31
しとしと雪月花
0
再読。2、3年前に購入してから何度も読み直しているが、読む度に、著者の文章が纏う世界への肯定感、自由さ、そして芸術に奉仕するというその意志の迫力に新鮮に魅せられる。2023/11/17
かんちゃん
0
この人の小説を読んでみたいとは、思わなかった。何か難しいわからない人には近づいて欲しくない、という考え方のような気がした。 ただ、こういう考え方は、ありだな、と思った。これが芸術だ、と堂々と言えるのは、羨ましいことです。2020/03/06