出版社内容情報
35歳。起業しポルシェを購入した太郎。自慢の愛車で向かうのは欲望か、死か? 堀江貴文氏も推薦する、芥川賞作家の超話題作。
内容説明
芥川賞作家×ハードボイルド。35歳。起業してポルシェを購入。太郎が愛車で向かう先は、欲望か、死か?
著者等紹介
羽田圭介[ハダケイスケ]
1985年、東京都生まれ。明治大学卒業。2003年、『黒冷水』で第四〇回文藝賞を受賞し、十七歳でデビュー。2015年、『スクラップ・アンド・ビルド』で第一五三回芥川龍之介賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
143
広告代理店とかというのはほんとヤクザな商売だな。バブル時代に大学生だった当時を振り返ってみると、女の子を連れてくる...という人達がいかにつまらん人種だったかが今わかる。集まっていた女の子達のほうも、ね。当時は洒脱に見えたりしたのだが。これを読むと、そういう構図は変わっていないのか、あるいはITバブルの頃からまた復活したのか。危なかっしい太郎くんを老婆心とともに見ていたが、そういう気持ちに読者をさせるのが羽田圭介氏の狙いだったのかな。ポルシェに乗った男よりクッキー焼いてくれる男に、そら軍配があがるわよね。2019/04/28
ケンイチミズバ
137
キャンタマ袋の毛に白髪が混じってることに気づいたからってそんなに愕然としなくてもいいじゃんか。しかもモデルの彼女とこれからエッチするという時に。全てがちっぽけだ。勘違いステイタス、ポルシェに乗ることが成功の尺度なら、あんたのは中古だし。まあそれがお似合いだろう。しかも実家、茨城で彼女もモデルというだけで実際なにしてるのやら。これで社長なら日本はおしまいだな。ポルシェ太郎も実際にいるだろう、アストン次郎もマセラティ三郎やらガヤルド 四郎もいよう。ずるをしないと本物は手に入らないという考えは少し当たっている。2019/04/19
旅するランナー
118
ポルシェを愛する太郎くん。小さいけれどイベント・PR会社の社長さん。己に自信を与えてくれるポルシェ。格好良くきらきらした車には、若く輝いている成功者しか乗っては駄目なのだ。怠け者の貧乏人には付いていけない感覚。でも、年齢や地位や境遇に関係なく、焦りは誰にでも付きまとう。幸福とは、成功とは、人生とは何かを考えさせられたり、ポルシェを運転しているような(乗ったこともないけれど)軽快な気分にしてくれる作品です。2019/07/08
優希
101
車好きには楽しめるのでしょうか。ポルシェを購入したことでの紆余曲折なことが起こります。特権階級の仲間入りをしたと思い、様々な職種の人と繋がりますしね。車を買ったことで手にしたものより、部下社員やお客様の態度に救いを感じました。個人的にはもう少し不穏な雰囲気を想像していたので、予想外です。2019/06/25
萩
65
分不相応のポルシェを買って浮かれポンチな男の話。企業したばかりの35歳、太郎はひょんなことから年収1年分のポルシェを買い、自慢に思う気持ちが人生を良くも悪くも変えていく。太郎は軽薄太郎で傲慢太郎で成金根性太郎で、人間的好感度はイマイチ低いが、悪人というほどでもないのがなんかリアル。太郎の言ってることの8割は共感できないが、2割くらいは共感できた。ダラダラとした展開のわりに結構面白く、私なりにこの本から学んだことは「自己顕示欲における他者の無関心」「身分不相応な言動は墓穴を掘る」。羽田さんご結婚おめでとう。2021/01/07