出版社内容情報
「人間」ってなんだっけ?ロボット、人工知能、ナッジ、認知バイアス、利己的遺伝子…ポストヒューマン状況に生きる私たちの診断書。
吉川 浩満[ヨシカワヒロミツ]
著・文・その他
内容説明
人工知能、ゲノム編集、ナッジ、認知バイアス、人新世、利己的遺伝子…従来の人間観がくつがえされるポストヒューマン状況の調査報告。
目次
0 序(まえがき;序章:人間(再)入門のために―1989/2019/2049)
1 認知革命(ヒトの過去・現在・未来―『サピエンス全史』とともに考える;合理性のマトリックスとロボットの戦い―認知と進化の観点から ほか)
2 進化と絶滅(「生きづらいのは進化論のせいですか?」―進化論と現代社会;人類の起源という考えそのものについて―起源神話のふたつのドグマ ほか)
3 人物(リチャード・ドーキンス―文明史におけるドーキンス;アンリ・ファーブル―進化論ぎらい ほか)
4 作品(二一世紀の“人間”のための二一冊―フーコーからポストヒューマンSFまで;『利己的な遺伝子』からはじまる一〇冊―刊行四〇周年を機に(橘玲+吉川浩満) ほか)
著者等紹介
吉川浩満[ヨシカワヒロミツ]
1972年3月、鳥取県米子市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、文筆業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
30
長らく積ん読になっていた本著をようやく読了。題名が「資本論」の言葉とは知りませんでした。最近の哲学や進化論の潮流を知るには、格好の書です。腑に落ちたところは人間の思考はオートモードとマニュアルモードがあり、普段はオートの自動運転で、必要に応じてマニュアルを起動している。だから、人間は感性と知性、欲求と理性が相克する「不合理なロボット」という説明。いまメジャーな未来像は、功利主義とリバタリアンが結合した「リバタリアン・パターナリズム」だという。「人新世(アントリポセン)」という言葉は注視していきたいですね。2020/09/07
ころこ
29
著者は、AI技術により哲学的な問題が解決されるようには、単純に自然科学のアプローチから根本的な問題が解消されるとは思っていないようですが、あえて自然科学のアプローチに没入しているようにもみえます。認知革命では失敗しており、進化と絶滅では逆説的な理解により深い議論に結果的になっているようにみえます。後者は大澤と千葉の解釈によって成り立っている議論なので、著者の真意は言明されません。哲学の言葉と科学の言葉の断絶について、言い切ってしまうとどちらかに寄って問題が小さくなることがわかっていることは確かです。2019/02/19
いろは
26
猫町倶楽部の関西アウトプット勉強会の課題本。『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』元はカール・マルクスの資本論の草稿によるものらしい。著者である吉川浩満があとがきにて、「変なタイトル」と言うけれど、いやいや、吉川さん。こんな面白いタイトルのお陰で、私はこの作品を手に取ることになったんですよ。タイトルも面白いけど、中身も濃密。特に、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』と、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』は共に過去の課題本だったのだけれど、この作品でも話題となっているので、意見を聞きたい。2018/10/30
いろは
26
関西アウトプット勉強会の課題本。「カールマルクスが『資本論草稿』に書きつけた「人間の解剖は、猿の解剖のための一つの鍵である」という一節から借用したものだ。」という、「人間の解剖はサルの解剖のための鍵である」このタイトルが、私の興味関心を掴んで離さなかった。もし、このタイトルではなかったとしたら、私はこの作品に出会うことはなかっただろう。それくらい、私はこのタイトルに惹かれた。作品の中で最も印象的だったところは、やっぱり私達人間と人工知能は、切っても切り離せない関係にあるのだと、向き合う必要があると思った。2018/10/04
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
20
人間に関わる新しい科学と技術についての要約と評論を集めた一冊。一貫しているのは「これからの人間とは何か、それはどこへ向かうのか」。/著者のいる読書会に参加したが、すごく面白かった。著者の書く「人間本性論」を 早く読みたい!2018/08/25