出版社内容情報
昭和の喫茶店に誘われるように出会う男と女、漂う音楽、そして本と珈琲とカレーライス……片岡義男が贈る、極上の作品集
片岡 義男[カタオカ ヨシオ]
著・文・その他
内容説明
あの頃の、奇跡のような「日常」がここにある。男と男/男と女を巡る7つの物語。
著者等紹介
片岡義男[カタオカヨシオ]
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で作家デビュー。翌年発表した「スローなブギにしてくれ」で野性時代新人文学賞を受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tsuyoshi
62
喫茶店で交わされる大人の男女の色んなやり取りを描いた作品。オシャレな会話や立ち振舞いにさりげなく彩りを添える数々の料理。田舎に住むオシャレとは無縁な自分の日常とはあまりにかけ離れた世界に何だかしっくりこなかった。2018/07/30
むつこ
30
カレーライスがおいしい喫茶店を舞台にした連作短編集、って感じかな。相変わらずの片岡節の男女の会話はシャレオツで(私的に)合わないけれど、文体の雰囲気は「やっぱり好き」。で、寝る前に読むとムカムカするけど落ち着く不思議な時間だ。いつまでも執筆活動続けて欲しいです。2021/08/14
春が来た
26
POPEYE8月号に載っていた、「いつものブックストアで待ち合わせ」を読んだら、なんとなくいつまでも片隅に残っていた。じゃあ片岡義男の作品を読んでみようと、とりあえずタイトルで選んだ。オススメの本とか誰かのレビューとか関係なく選んだのは久しぶりのような気がする。ほとんどが会話で綴られている短編集。誰かに感情移入するわけでもなく、興味を持つわけでもなく。隣のテーブルから、煩わしくない男女の些細な日常での会話を聞いているような感じで、暇を持て余してた頃、ミスドで友人と人間ウォッチングしていたのを思い出した。2020/11/14
aloha0307
19
作家はどなたも固有の世界がありますが、片岡さんは顕著だなあ... 塵ひとつない清涼な、ビターレモンが香る空気に包まれた気がします。壮年のシブ~い男とハイヒールのいい女 出会う(短編によっては数十年ぶりに) そして恋の予感...「言葉のふとしたところに、ひとり一人の息づかいのようなリアリズム」があるのだよなあ。前作はコーヒーが彩りを添えたけど、本書にもいろいろな食材が☺ ”卵サンドと山ごぼうの漬物”~うーん 食してみたい! ”炭水化物(お米)とアルコールの仲を取り持つ鯨の旨煮” 何と美味い・巧い表現でしょう2018/07/21
遠い日
8
40年ほど前の学生の頃、一時期夢中で読んだ片岡義男。その片岡さんも80歳前に垂んとするが、描かれる世界は一向に色褪せない印象だ。音も光も熱も色も味も空気も天候も、そこにあるもの全てを描き込みながら、なんとも鮮明な映像が立ち上がってくる。ちょっとしたマジックのように、浮世離れした会話が、それでも人の営みを乗せて交わされる心地よさ。同じ人物、同じ店が、角度を変えて登場するその多面性がおもしろい。喫茶店と呼べる喫茶店、少なくなりました。2018/09/08