出版社内容情報
精神を病んだ妻と罪障を抱えた作家との日常生活の修羅を描く私小説。長篇版より早い時期に書かれた作品から始まる短篇集。
内容説明
共に狂っていく夫婦の凄絶な「愛」の記録。精神病院での療養生活からさかのぼる、もう一つの“死の棘”の世界。圧倒的な私小説の極北がここにある。短篇連作版復活。
著者等紹介
島尾敏雄[シマオトシオ]
1917年、横浜生まれ。作家。九州帝国大学法文学部東洋史科卒。1944年10月、第十八震洋特攻隊指揮官として奄美群島の加計呂麻島に赴任。発動命令が下ったまま、敗戦を迎える。戦後、当地で知り合った大平ミホと結婚。日常の現実世界の中に人間の危機的状況をにじませた作風は、私小説の新境地を拓いた。主な著作に、『出孤島記』(戦後文学賞)『死の棘』(短篇集・講談社版、芸術選奨)『硝子障子のシルエット』(毎日出版文化賞)『日の移ろい』(谷崎潤一郎賞)『死の棘』(長篇・新潮社版、読売文学賞、日本文学大賞)『魚雷艇学生』(野間文芸賞)がある。また、「湾内の入江で」で川端康成文学賞、1981年に芸術院賞受賞。1986年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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