出版社内容情報
子どもへのあたたかな眼差しから数多くの感動作を書いた灰谷だが、その生涯は苛烈なものだった……灰谷の作品と生涯に迫る初の評伝。
内容説明
子どもへのあたたかな眼差しにあふれ、多くの人を魅了してやまない感動作品を残す児童文学者・灰谷健次郎は、酒や友を、海や旅を、そして文学を心から愛し、“生きること”を徹底的に楽しんだ。しかしその生涯は、長兄の自殺、著作の差別問題、断筆と放浪、版権の引き上げなど激烈なものでもあった…絶望から希望への道を歩んだ彼の生涯から作品の根源に迫る。
目次
第1章 初対面は所沢、そして淡路島へ
第2章 貧しい少年時代から教師へ
第3章 兄の死、教師、沖縄放浪
第4章 『兎の眼』と『太陽の子』の誕生
第5章 人への旅、アジアへの旅
第6章 ライフワーク『天の瞳』
第7章 社会への異議申し立て
第8章 平和への祈りと行動と遺書
終章にかえて
著者等紹介
新海均[シンカイヒトシ]
1952年、長野県生まれ。75年光文社入社。以降、「カッパ・ブックス」編集部や「宝石」編集部に所属し、再び2005年の終刊まで「カッパ・ブックス」の編集に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
56
「太陽の子」を読んで、すごく感動したことを思い出して手に取った1冊です。命は戦うものではなく、慈しむもの。その思いがあの素晴らしい作品を生み出したのでしょう。2017/12/30
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
7
どんな人か全然知らなかったということがわかった。ただの子供思いの教育熱心な優しい人ではなかったのだ。上から目線を感じるものって、自分だけは泥で汚れないとこに身を置いている人で、自分も泥をかぶった人は泥で汚れた人を責めることなどしない。そして自分の手で他者の泥を落としてあげる。まったくぶれることなくそれをやり通した人ですね。2017/12/12
okatake
2
児童文学において多大なる影響を及ぼした灰谷さんが亡くなってはや10年以上。近くで彼の人生を見てきた編集者による評伝です。 人間の真の優しさとは何か。生きていくとはどういうことかを自身の一生を掛けて考え続けた方であることをこの書から受けとることができました。 多くの対談集を出していることからも人と人との触れあいや共、考えの違いを引き出し、人間という生物を愛したのだなあと思います。 また、「兎の眼」「太陽の子」などを読みたくなりました。もちろん、対談集もね。 2018/06/03
どさんこ
1
「太陽の子」を読み、涙が流れたことを思い出す。感動する本を書き上げた作者には、そこに至るまでの数知れない苦労があったのだと知った。人は、苦労無くして大きくなれるものではないのだ。2017/12/11