出版社内容情報
津島文学の魅力に迫る総特集――〈対談〉川村湊×高澤秀次〈エッセイ〉伊藤比呂美、松浦理英子〈論考〉石川義正、岡和田晃、ほか
河出書房新社編集部[カワデショボウシンシャヘンシュウブ]
目次
津島佑子の世界
特別対談 川村湊×高澤秀次―遊動する世界を生きた作家
エッセイ
津島文学との交差点
世界への想像力
論考
著作解題 1971→2016 津島佑子の作品世界
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
4
改めて津島佑子の不在を思い知らされた。と同時にこの作家が問いかけてきたことの重み、そしてその仕事があまりに知られなさすぎるのでは?という思いにかられる。少数者、虐げられた者への眼差し、それを抑圧する者への憤り。世の動きが右傾化へと突き進む昨今だからこそ、著者が残した仕事が大きな意味を持つ。特に好みというわけではないが、なぜか読まずにはいられない吸引力を感じ、付き合い続けたこの作家の魅力がどこにあったのかを改めて知った気がする。新たに出る著作集を読む上での。水先案内にもなる。これからも度々手に取るだろう。2017/10/04
yyrn
3
津島佑子の本を読んだことはなかったが、新刊本コーナーにあったので手に取った。読んで昨年亡くなったことを知ったが、いろいろな人がその人となりや思い出を綴った文章が続き、何か作品を読んでみようかなとも思ったが、中盤以降にこれまでの作品群の紹介があり、それを読むと、どれもテーマが重そうなので少し身構えてしまった。途中で太宰治の次女だと知って驚き、障害を持った兄がいたり、離婚したり、幼い子供を亡くしたりとその生い立ちや人生が重いテーマを書かせたのだろうかと考えた。巻頭の山梨での講演録が良かった。2017/02/27
yoyogi kazuo
2
中上健次との対談が面白かった。コンピューターが書く小説というトピックはまさに今のアクチュアルな課題で、この二人がもうこの世にいないのだと感じるのは寂しい。女性作家たちによる感動的な数々の追悼文を読むとなお悲しみが募る。2021/05/16
タンタン
1
「黙市」を読んで強い衝撃を受け、続けて「寵児」「光の領分」「夜の光に追われて」などを手にした。その後、新しい本を見かけるたびに一瞬立ち止まりはしても読めずにいる。自分に津島佑子を読む体力がないように感じるから。でもいつか読みたいから、この本を本棚に入れておこう。2020/01/09
宮崎太郎(たろう屋)
0
河出書房のこのシリーズはどれも秀逸だと思う。伊藤比呂美さんのエッセイに打たれました。「古今東西の語り物は子供が育たずに死んでいった世を親が生きていたものだ。昔から子供は死んで当然だった。」作家の衝動に感動しました。2020/02/13