出版社内容情報
この夏、彼女が死んで、友達が死んで、友達の彼女が死んだーー選考委員絶賛! 五人の不定の生が紡ぎだす、第53回文藝賞受賞作。
町屋 良平[マチヤ リョウヘイ]
1983年、東京都生まれ。2016年、「青が破れる」で第53回文藝賞受賞。
著者等紹介
町屋良平[マチヤリョウヘイ]
1983年、東京都生まれ。現在、会社員。2016年、「青が破れる」で第五三回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
114
独特な切なさが心に響いた。空きまくりの行間から滲み出てくる、なんともいえない感傷。確かに、色で表現したら青だ。それも心地よい方の青だった。2016/12/04
アマニョッキ
69
町屋さん初読み。ちょっともう震えるぐらい良かった。途中で一端本を閉じて「やばい、ちょっともうこれやばい」と口に出してしまうぐらい良かった。表題作と書き下ろし二作。どれも素晴らしい。そしてどれも似通っていない。三人の作家さんの作品を読んでいるよう。でもやっぱり表題作が好きかなあ。ひらがなとカタカナの使い方が本当に上手。肉体と思考の繋がり。脱け出したい衝動と留まりたい茫洋。ラスト1文に収斂されていくゆるい疾走感。いやもう参りました。ちょっと中島らも思い出したりもして。とにかくワンダー。「しき」も読まなければ。2018/08/02
ももんが
57
★★★☆☆僕の身近な人達が次々と「死」へ旅立つ。たんたんと進んでいくけれどリアルで切なくて、「死」の前ではこんなにも無力ででも生きている限り前に進まなければならない。とても濃い作品でした。2017/09/18
tomi
41
ボクサー志望の主人公を中心に、人妻である恋人、親友とその恋人ら狭い世界の微妙な関係が描かれる。著者の作品を読むのは「しき」に続き二作目だが、ひらがなを多用する独特な文体はこのデビュー作でも同じ。一見さらっと読めそうで、関係性などの説明を極力省いて想像に委ねる文章も相まってとても読みにくい。これは恐らく読者がさらっと読み飛ばさないように意識した文体なのだろう。(文藝賞受賞作、三島賞候補)2018/11/16
じょんじょん
41
難しい小説と感じた。読みにくいかといえば、そうでもないが、すいすいはいってくる感じでもない。ボクサーになりたいのだけど、ふんぎれない主人公。彼をとりまく女性は二人出てくるのだが、友人の恋人と人妻。着地できないふたりとの関係は決して能動的ではない。友人の男性とボクサー志望仲間、そして人妻の子供。描かれる登場人物は極めてせまい範囲だけれど、それぞれ独立しては意思疎通がはかれない。終盤で描かれる人の死は「喪失」ということなのだと思った。人妻の子供を抱きしめて涙を流したときに喪失の重みを感じたのか。破れた青は何?2017/01/16
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