出版社内容情報
「伯爵夫人」に先立つ小説二編。「エピステーメー」の終巻を飾った「陥没地帯」、小説の欲望にふれた小説「オペラ・オペラシオネル」
蓮實 重彦[ハスミ シゲヒコ]
1936年。著書『ボヴァリー夫人論』『物語批判序説』『凡庸な芸術家の肖像』など多数
内容説明
三島賞受賞作「伯爵夫人」に先立つ小説二編…戦争と官能の気配にみちた蓮實文学の精髄。
著者等紹介
蓮實重彦[ハスミシゲヒコ]
1936年東京生まれ。60年東京大学仏文学科卒業。同大学大学院人文研究科仏文学専攻修了。65年パリ大学文学人文科学学部より博士号取得。東京大学教養学部教授(表象文化論)、東京大学総長を歴任。東京大学名誉教授。仏文学にとどまらず、映画、現代思想、日本文学など多方面で精力的な評論活動を展開。2016年『伯爵夫人』で三島賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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R
15
私には難しすぎた。陥没地帯では、連綿と続く砂の風景の描写、繰り返される少年の夢、女の生活、中年の過去、女店主の姿、それらが何を暗示しているのか、誰のなんなのかさっぱりわからんのだけど、不思議と描写される風景が眼に浮かぶようで、その卓越した素描に驚く。もう一本では、やはり同じような手法というか描き方で、今度はオペラなのか、本当の物語なのか、間諜は誰なのか、男はなんなのか、わからないままでも、何か物語は進み、オペラの盛り上がりと同じく、読んでるほうもなんか盛り上がった気分は味わうけど、なにかわからない。2018/10/27
Taxxaka_1964
3
物語は既に始まっていると、確かにはじまっているタイミングで確認するかのようにつぶやかれる独白を読むとき既に、その物語の密やかな罠に嵌っているとは初見では気付きようはなく、とはいえ繰り返される毎度おなじみの光景がいつの間にか少しづつ変容されていくその速度の奇矯さに気づく頃には、既にその物語が通常の物語のごときクライマックスすら持っていることに驚かずにはいられない。そしてそれは「陥没地帯」についての一つの物語に収まらず、横揺れに横揺れを重ねる「オペラ・オペラシオネル」によってより確信されることになる。2016/11/05
KatohRyo
2
繰り返される表現はまさに巻き上げられた砂煙か,横揺れを思わせ,危なっかしい均衡が崩れた瞬間に発散していく物語に感動を覚えた.2018/05/04
nobu
1
なかなか 読みづらい文章でした2016/10/07
天来
0
ぶちお2019/11/07