出版社内容情報
ぼくの左目はまさしにどつかれて腫れていた。それを知った神永たちは仕返しにゲーセンへ向かうが…少年が見つめた〈生命〉の傷跡。
【著者紹介】
1966年生まれ。神戸市出身。富良野塾二期生。劇団FICTIONを主宰。作・演出・出演を兼ねる。著作に『緑のさる』、『ギッちょん』がある。
内容説明
ぼくと神永、三上、長田はいつも一緒だ。ぼくがまさしに左目を潰されたら、みんなは仕返しにゲーセンに向かい、中学の教師や先輩からの挑発には暴力で反抗する。そんなある晩、神永はヤクザ者の親父をカッとなって殺してしまった…。にがさと痛みのなかで鮮烈に輝く少年たちの群像。
著者等紹介
山下澄人[ヤマシタスミト]
1966年、兵庫県生まれ。富良野塾第二期生。96年より劇団FICTIONを主宰、作・演出・出演を兼ねる。2012年『緑のさる』(平凡社)で野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
58
不良少年達の話だけど、かなり暴力的で、主格や時間軸がどんどん変わるので、分けわからない。 私的には馴染まない。 何で読んだんだっけ、鳥だから?と考えたら、この人の人生相談がやたら面白かったからだった。2024/01/26
おさむ
38
2015年の作品。カピカピに乾いてる点は相変わらずですが、この頃からの作品は、以前ほど時局があちこち飛ばなくなっていて、比較的読みやすくなっているような気がする。芥川賞の「しんせかい」への序章って感じですかね。2017/02/04
そうたそ
33
★★★☆☆ 著者の作品の中では最もとっつきやすかった気がする。従来の作品に見られた視点が次々と移り変わる手法は今作でも健在であるが、以前ほどの目まぐるしさはなく、読者が置いていかれるというほどのものはない気がする。少年たちの青春群像劇でありながら、先に書いたように視点の移り変わりがあったり、時系列が行ったり来たり、あるいは現実と空想が入り混じったりと、とにかく今までにないような読書体験を味わえることは間違いない。会話文が多く、その文章のテンポがいいことも読んでいて心地よい。併録の作品はよく分からなかった。2015/09/02
更夜
19
「鳥の会議」と「鳥のらくご」の2篇が収録されていますが、「鳥の会議」はヒリヒリと痛い、落ちこぼれ中学生グループの会話をメインとしています。学校では問題児、家はがたがたで孤独な子たちなんだな、と胸が痛みますが、なんとなくハードボイルドな感じもします。会話の大阪弁がすらすらとしているからかな。「鳥のらくご」は山下澄人さんらしい、時間軸をめちゃくちゃにした「鳥の会議」の男の子たちの会話。なんとなく、寂寞感漂う中学生たち。なんとかしてあげたい、と思うけれど「余計なお世話じゃ」と言われそう。なんか胸が痛む。2015/09/20
八百
15
発表まもなく置かれた特設コーナーから受賞作ではないがどんなものかとピックアップ…結論を先に言えばここ最近わかりやすくなっていた芥川賞がまたもとの迷宮に迷い込んでしまったように思えた。何を言いたいのか全くもってわからなかった、同じ系統であろうところから比較すれば中場利一は才能に溢れ西村賢太はとてつもない文学青年ということになるだろう。下衆な作品であるから下衆に言わせてもらえば「おっさんはっきりもの言うたれやボケ!」… 失礼いたしましたm(_ _)m2017/01/23