出版社内容情報
作家を含めてリスペクトの対象となっている十蘭の魅力を満載。本人の名作を多数収録。作家や研究者のエッセイも。
目次
エッセイ・評論(久生十蘭のこと(澁澤龍彦)
「内地へよろしく」初見参の記(中野美代子) ほか)
コレクシオン・ジュラネスク(かぼちゃ;雪 ほか)
十蘭の証言 渡辺紳一郎・久生十蘭 対談 話の泉 第3回
十蘭研究の現在(これからの十蘭(江口雄輔)
十蘭収集で見えてきたこと(沢田安史) ほか)
資料
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アドソ
7
河出がまたうれしいものを出してくれた。初めて目にする作品も多かったし、対談や評論もあってお得感。海豹島を読んでいなかったのは不覚(電子版でも出てるのに)だった。でもこの話もなんと8種類のテキストがあるそうで、読み比べてみるのもたのしいかもしれない。ほとんど同じ話なのにタイトルだけ違う、というような作品もあるしね。「紀の上一族」はどうして復刊しないんだろう。電子版にもなってない・・・2015/04/16
マカロニ マカロン
6
個人の感想です:B。著者は1902~1957の戦前戦中戦後に活躍したミステリー作家。この本にはその評伝、対談のほか、澁澤龍彦、都築道夫さんらのエッセイ、さらに全集未収録の短編小説や戦中に書かれた従軍記など盛りだくさん。久生十蘭初心者の私にはコンパクトにまとまっていて読み易いありがたい一冊だった。戦地小説という肩書の『第〇特務隊』は戦争の緊迫感の伝わってくる生々しい作品。猟奇小説『白豹』も耽美的で独特。2018/10/05
羊男
2
久生十蘭の「海豹島」にはなんと8種類の異稿があるらしい。 この河出の「久生十蘭・文芸の本棚」には雑誌「妖奇」に発表されたものが掲載されている。 もう何十年も昔に読んだ教養文庫版も異稿のひとつらしい。 もう日本人が北方を目指すことはないと思うけど、そうした時代性を背景にもった名作であることには間違いはないと思う。2016/09/18
kiriya shinichiro
0
久生の小品や、古い解説の再録などもあって、割とお得な一冊だと思う。ファンだったら買ってもいい。 しかし久生ってホントにやんちゃだな、と思った。対談で渡辺さんとパリでの遊興生活について離してるけど、初期短編と内容一緒じゃん! カジノの研究とかお姫様との恋とかフィクションじゃないのかい! 月光と硫酸は実話ベースだって知ってたけどさ。2015/09/13