出版社内容情報
青春時代を戦争とともに過ごし、戦中はNHKのアナウンサーとして、大本営発表のマイクを握った著者による、貴重な記録。
【著者紹介】
1922年東京生まれ。作家。文部省、NHK勤務を経て、文筆活動に入る。著書に『きもの名人』『文士のきもの』『荷風と左団次』『田端文士村』『本郷菊富士ホテル』など多数。
内容説明
どうせ死ぬなら、放送局でマイクを握りながらがいいと思った。―いつも戦争が側にあった。それでも駆け抜けた青春の日々。NHKのアナウンサーとして大本営発表を務めた著者による貴重な記録。
目次
1章 昭和ノスタルジー
2章 戦争の足音
3章 女学生の日々
4章 東京女子大学の人々
5章 芝居への想い
6章 美への旅
7章 文部省時代―悪化する戦局
8章 アナウンサーに
9章 大空襲
10章 大本営発表
11章 終戦
12章 戦争は終わったけれど
著者等紹介
近藤富枝[コンドウトミエ]
1922年、東京生まれ。作家。東京女子大学卒業。旧文部省、NHK、武蔵野女子大学などに勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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金吾
22
淡々とあっさり話が進んでいきました。当時としては経済的に恵まれた女性の経験談です。田端の部分は中学・高校が近傍でたまに行っていましたので懐かしくて良かったです。2021/03/11
Wisteria
7
何だかなぁ。立派な題名と装丁のわりにフワッとした内容。当時珍しかった女性アナウンサーとして、一般の人々が知るべくもない大本営発表の裏側を語ってくれるのかと思いきや、語ってはいるんだけれど、なんか全然臨場感がない。東京大空襲についてもサッパリし過ぎて拍子抜け。近藤富枝さん個人に興味があった訳ではないので、芝居に情熱を傾けた学生時代の話も正直どうでもよく、長いし飽き飽きした。2017/03/09
千本通り
2
NHK朝の連ドラ「本日も晴天なり」がBSで再放送され、実際とどれだけ違うか知りたくてこの本を読んだ。実際の著者はかなり孤独な青春時代を送っていて、空襲から逃れて命からがらやっと家に戻っても「お帰り」といってねぎらってくれる家族がない身がさすがにわびしかった、と告白している。ドラマのようなあったかい家族ではまるで他人事(ひとごと)に映るだろうな。2023/06/08
かっくん
2
昭和6年から昭和20年、作者にとっては9歳から23歳までの多感な青春時代を過ごした時代である。父親の事業の失敗で一家離散し、親戚の手で育てられた作者は、田端の芸術の文化や下町の情緒に影響を受けながら日々を過ごす。東京女子大に入り演劇の世界を目指すが、時代の趨勢でラジオアナウンサーの職につく・・・・。戦時中の東京の空気感を淡々とした筆致で描いており、極端な心情吐露もないので、偏った歴史観とは無縁の書き物になっている。杉村春子や瀬戸内寂聴といった人びととのさりげない交流も描かれており、芸術面からも興味深い。2022/10/09
ケンサン
2
9月19日〜NHK連ドラ「本日も晴天なり」の桂木元子のモデルが著者。9歳から23歳までの15年間、まさに満州事変、日中戦争、太平洋戦争の荒波を駆け抜けた…東女に入り、芝居にのめり込みつつ、文部省へ。陰鬱?さに嫌気が差し、アナウンサー稼業に。国家高揚に見を処しながら、陸軍の事実隠蔽、虚偽の情報による大衆扇動に疑義を覚える。実際に目にした凄惨な光景を透明感あふれる文体でさらりと…源氏物語を擬えて、実年齢から15年を引いたのが精神年齢?それで忘れることができればとは言い得て妙!時代は違うが惹かれるものがある。2022/09/23