内容説明
抜きんでた才覚を見込まれ、儒者でありながら右大臣まで上りつめた道真。貴族たちのうごめく野心と、業平と高子らの恋の傍らで、政治家として奔走した劇的な生涯を描く本格歴史小説。
著者等紹介
三田誠広[ミタマサヒロ]
1948年、大阪生まれ。早稲田大学文学部卒業。1977年、『僕って何』を「文藝」に発表し、芥川賞受賞。以後、小説、評論、エッセイと幅広く活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoriction@感想&本読みやや復活傾向
23
業平をなりひら として軽く描いた『なりひらの恋』とは毛色の違った同時代の歴史作品。藤原一族や貴族たちの蠢く野心。業平らの恋の傍らで、政治家として奔走した菅原道真の劇的な生涯。道真さまは、なりひらくんと対象的すぎ。真面目一本の学級委員タイプ。味方は少なくあちこちに敵。頭は良いが色事には疎い。奥さんに向かって「私は恋したことがない」だなんて‼ バカ真面目すぎる。そしてやはり恐るべし藤原一族!だ。淑子が怖い。作者にとって本作は、この時代の集大成らしいが、私にとっても平安時代モノ月間のラストであり、集大成だった。2013/08/29
kiho
12
藤原一族の時代…道真という人がどのような位置にいて、何を理想にしていたのか、人となりも含めて面白く読めました☆在原業平との関係にも「へぇー」!学者肌の道真と歌人の業平が心を通わす間柄だったとは…それぞれの行く末も含め、知らなかった歴史を知り得た感じ♪2014/12/16
セイコリーノ 願わくは図書館、本が「希望の綱」となりますように
8
文体は素っ気ないけど、興味深い内容で、面白かったです。道真と在原の業平はわりと親しくて。互いに、和歌、漢詩を教えあった仲とか、知らなかったこといろいろ書かれていて良かった。 儒学を修め、真面目に律令制度を進めることを頑張ったら、失脚してしまい、ってとこですね。もったいないですね。2023/04/21
紅花
8
この本の直前に杉本苑子さんの山河寂寥を読んでいたので、内容としてはサラリとしていた。道真さん、本ばかり読んでちゃダメなんだよ。だから・・・と言うのが素直な感想。2013/10/15
withyuko
6
「月蝕」に続いて、この本を読んですごくよかった。菅原道真ファンの私には、一番イメージ通りだった儒学は民も帝も思いやりの心を大切にして国を良くしていこうという教えなのに、学問に邁進した道真は常に孤独で、藤原北家や源氏の人々の方が幸せそう。妻の宣来子さんがいい人でよかった!在原業平を高子様と淑子様の異母姉妹で争うけど、高子様は母の身分も高く美女で…淑子様はそうじゃなかったからコンプレックスが聖王を育てる野望につながり、実現していくのがすごい。高子様は業平が忘れられずなんか不幸。幸せとは何かわからなくなる。2019/09/23