内容説明
「鬼平犯科帳」「必殺仕掛人」「剣客商売」などの名作を届け続けてくれた池波正太郎の糧は、映画であり食べることであった。早起きして映画、おいしいものを食べてまた映画、そしてちょっとひっかけ、帰宅して仕事、夜食、読者…。素晴らしい至福のひとときが伝わる映画人生の記録。
目次
怪傑・無頼・老猟師
アメリカ映画の新生
物事は、すべて、これ
エレガントな殺し
“失なわれた時代”の明るさ
ヒコーキ野郎のエクスタシー
鼓膜に残る銃声
阪妻・千恵蔵のすばらしさ
カッコーの巣の上で
マザースキー監督の青春群像
二人の“男”の冒険
大都会の孤独の報酬
“思春期”に托す人間の未来
テレビが造る不気味な現実
すばらしき“西部の女”
ルノワール作品の大いなる感銘
ロイドの笑いの世界
粒ぞろいの正月洋画
“男の生活”から消えたもの
胸に沁むルノワール作品
伝統ふまえた秀作“ロッキー”
キートンの厳しいリアリズム
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923年、東京生まれ。作家。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。60年、『錯乱』で直木賞受賞。1990年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Noritoshi Tsurugaya
1
映画の話の後に、数行、食べ物の話が入るのがなんともよいです。2016/05/19
kinkin
1
池波流、映画の見方が興味深いです。2013/11/15
一彩
1
「うかつには死ねない」って良い言葉だね。2013/07/24
えり
1
『*月*日(中略) 夜ふけて台所へ行き、大きな[にぎりめし]を一つこしらえ、これを千枚漬でくるんだのと、けんちん汁をあたためて食べる。 仕事にならず、猫と遊ぶ。』2013/05/30
Natsuhiko Shimanouchi
1
70年代半ば、映画の感想と、映画の後の食事などの日常が日記形式で綴られたもの。こんな風にエレガントに映画について語れたらと感嘆。私自身映画雑誌も熱心に読んでいた頃なので、未見の映画でも出てくるタイトルには覚えがあり、この本で思い出した映画も多く、改めて見直したくなった。そしてこの頃池波さんは50代前半から半ば、ちょうど今の自分の年代。アルドリッチにアルトマン、取り上げる映画のセンスの良さにも感服。これぞ粋。2013/03/29