内容説明
戦争を忘れても、戦後は終わらない。16歳のマリが挑む現代の「東京裁判」。
著者等紹介
赤坂真理[アカサカマリ]
1964年東京都生まれ。アート誌「SALE2」の編集長を経て、95年「起爆者」で小説家デビュー。2000年、『ミューズ』で第二二回野間文芸新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
262
第2次世界大戦における日本の敗戦を、30年前のアメリカ東北端メイン州での個的な敗北として一身に引き受けたのが本書。Mariは"I"個人であって個人ではない。この時"I"は"People"なのだ。さすれば、彼女はまさに敗戦の贖罪をなす巫女のごとき存在だといえようか。そして、それは同時に彼女自身の自己解放の姿でもあった。究極の汎神論とキリスト教一神論。論理の中に正義を見る文明と、鵺のような混沌の中にあった文明。母との断絶と痛切なまでの思慕。そうした引き裂かれた孤独の中で語られた「物語」がこれだったのだ。2014/12/27
zero1
132
天皇に戦争責任はあるか。現在と過去を巡り考察。長く難解なため挫折した読者が多かったはず。二発の原爆。東京大空襲は何?真珠湾に南京事件、人体実験した731部隊の責任は?恐ろしいのは今の学生たちが本書のようなディベートを出来ないだろう事。上の年代も伝えられない。だから【日本も核武装を!】と頭の悪い事を言い出す。歴史の教訓は忘れられる運命にある?そもそも神話は歴史か?天皇は神か人か。米国が疲弊し枯葉剤を使ったベトナム戦争にも言及している点は興味深い。リトル・ピープルって村上春樹か?いつか再読したい。2022/06/23
R
91
かなり難解な小説でした。テーマとしては、第二次世界大戦の総括といったところが挙げられるけども、それを論じつつも、世の中にある目を背けてしまい議論を避けている事物について、それは論じないことで存在している、ある種の共通理念や存在ではないかという示唆まで富んで、なかなか面白く読みました。やや思想めいたやりとりが多いので、ちょっとひっかかってしまうところもあるけど、そういうことではない読み方が出来ると、もっと楽しめるのかもと思ったりする一冊。2019/07/08
なゆ
84
1981年、アメリカ留学中の16歳のマリに課せられたのは、全校生徒と保護者の前での公開ディベート。論題は『天皇には戦争責任がある』。日本では、その点においては沈黙されていたこと。ディベートに向けて調べていくなかで、知らなさすぎたいろいろな事が見えてくる。16歳のマリと30年後の46歳のマリが時空を超えて会話をしたり、森の場面、複雑な夢など、気を抜くと振り落とされそうで必死に読んだ。ディベートの場面は圧巻。私自身、知らなくては、と思ってた部分だったので、読んでよかったと思う。2012/09/25
tsu55
76
戦後日本人が避けてきた問題に正面から向き合った力作で、問題作ではあると思うけれど、小説としの出来としてはうーん。どうなんだろう? 書評等で絶賛されており、また以前読んだ同じ作者のエッセイ「愛と暴力の戦後とその後」の出来がよく、共感したので期待値が高くなりすぎたのかもしれません。 作者の脳内風景?の描写が冗長であるために全体の印象が散漫に感じられます。このため、作者の個人史と日本の現代史を結びつけるという手法がうまく機能せず、木に竹を接いだという感じになってしまったというのが残念な点です。2015/09/20
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