内容説明
幼い頃からいじめられてきた「私」。二階の自室だけが「私」の楽園。そこでの「私」は醜く太った引きこもりではなく、みんなの憧れの美少女―。嘘に嘘を重ねた狂気の果てにある、世にも残酷な結末とは。
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年、岡山県生まれ。1999年「ぼっけえ、きょうてえ」で日本ホラー小説大賞受賞。2000年、同作を含む単行本『ぼっけえ、きょうてえ』で山本周五郎賞、2002年『tr´ai c^ay(チャイ・コイ)』で婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で島清恋愛文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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barabara
32
三つ子の魂百まで、か。育ちというより、本質的に何かが人とずれてしまっているから、その後何があろうと、自分を正常なレベルへの位置付けが出来ない。誰もが自尊心を傷つけられた事はあって、大なり小なりトラウマめいたものは抱えて生きていくものだと思っているのだが、ここまで来ると…悲しすぎる。完2012/03/19
ジョニーウォーカー
27
嘘に嘘を重ねることでどんどん肥大化してゆく虚栄。とりかえしのつかないレベルにまで壊れてゆく自我。岩井志麻子が“女”を描けば、それだけでホラーになり、同時に、突き抜けたギャグになる。読んでいて「ここまで悲惨な人生を歩ませるか…」と呆れるほどだが、それでもページをめくる手が止まらない。気づけば全289頁を半日で読了していた。どちらかといえば遅読の自分にとってこれは驚異的なペース。主人公りかの半生にはそれほど、目を離せぬ“痛さ”がある。特にエッセイストの美人マネージャーとなってからの勘違いぶりは必見です。2010/09/28
よみとも
24
メンタルを削られる作品でした。しんどかった。現実の自分を直視できず、ひたすら嘘で自分を塗り込めていく人生。いじめ、レイプ、風俗、クスリ、整形、妊娠、憎悪。表紙も怖い。人におすすめはできないなぁ。2017/03/26
げいむすきお
20
「虐められ騙され犯され体を売って生活する」という不幸を絵にかいた様な人生の主人公。しかし「自堕落で嘘つきで、強者には媚を売り、弱者は見下して、我儘が通らないと大声でわめく」ような性格で、同情心はわかない。とにかく救いがなく、主人公をいじめるためだけに書かれたかのような話。このタイプの女に迷惑をかけられている人はストレス解消になるかもしれない。ただ、現実にもこれに似た境遇の人間がいることを思うと複雑だ。どこがどうなら、主人公にとって幸福な人生を生きれたのか。もしくは、これこそが一番幸福な人生だったのか……。2020/05/19
redbaron
18
表紙がすべてを語っているんじゃないかしら。彼女のとてつもなく大きなウソを読むのが楽しいけれど、生き方が痛々しい。救い無し。でも読んじゃう…作家さんの力に脱帽。2016/05/16