内容説明
本土決戦に備え、潜水服に身を包み、敵上陸舟艇を海底から襲うという水際「特攻」。予科練生たちの「本番」に備え、不備な装具で日夜訓練に励む、予科練に落ちた子どもたちは、「神」となる前に次々に事故死する。飛び立てなかったイカロスたちの目に焼き付けられたものは何だったのか。
著者等紹介
阿井文瓶[アイブンペイ]
1941年、中国北京生まれ。作家。TVシナリオライターとして「ウルトラマン・シリーズ」「特捜最前線」等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エル
3
機雷を抱いて敵に突っ込む特攻隊・伏龍。それを担うのは15歳の少年たち。特攻隊になれたことに喜びを感じる一方、訓練で命を落としていく仲間たち。死を身近に感じるようになって死そのものに恐怖を感じるようになる。戦争そのものに疑問を感じるようになり、物資不足のせいか、そもそもの特攻のやり方がおかしいのか事故死も絶えない。何故10代の少年たちがこのような思いをしなければならないのか。それが戦争だからだ。戦争だからと夢め希望も諦めなければはらない。暗い海の底で事故が起こるシーンは読んでいるこちらまでもが苦しくなる。2022/09/10
jack
2
無謀な精神世界。子供に強いるには、あまりにも残酷で、品位の欠片もない。☆4.22014/07/06
けちゃっぷ
1
恥ずかしながら、この『伏龍』の存在をこの本で初めて知った。海の中の特攻隊といった役目。潜水伏を着て海底に潜み、機雷と共に敵に突っ込むというもの。この特攻隊の隊員達は皆15、6才の少年たち。彼らの精神力には、何だか悲しいものを感じてしまう。その時代に生きるせいなのか。戦争中特有の生々しい描写はなく、彼らの訓練の様子を綴ってあるのが余計にリアルな感じだった。2014/04/22
むう
1
この季節になると、こうした若者たちが戦争の中でどのように生きたのか、あるいは死んでいったのか、という内容の本を読みたくなる。不思議なものだ。「伏龍特攻隊」の存在を初めて知り、少年たちの苦闘と精神の清冽さに打たれた。まるで完全なドキュメントのような構成も良い。2012/07/26
ichi
1
【図書館】2012/01/02