出版社内容情報
芝居への愛が二人をつないだ――歌舞伎界の風雲児・二世市川左団次との温かく純情な交流から浮かび上がる、荷風の意外な素顔。これまで誰も書かなかった荷風論の意欲作。
内容説明
芝居への愛が二人をつないだ―歌舞伎界の風雲児・二世市川左団次との温かく純情な交流から浮かび上がる、荷風の意外な素顔。
目次
役者になりたかった荷風
文士劇からはじまる
新富町の家
自由劇場
時世粧
浮世絵と古裂と
交情蜜のごとし
築地のころ
七草会
三人
ページェント
大震災
災後の荷風
荷風の転進
蔦紅葉散る
すね者荷風
著者等紹介
近藤富枝[コンドウトミエ]
1922年、東京生まれ。作家。東京女子大学卒業。旧文部省、NHK、武蔵野女子大学などに勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rbyawa
1
h092、左団次というのは明治後期の伝説的な歌舞伎役者のことで、この本に出てくるのはその息子の二世、永井荷風や小山内薫などと共に「自由劇場」を立ち上げたところからほとんど生涯に渡る付き合いが始まり、という内容であまり見ない舞台演劇の世界の内幕などもわかりやすく語られている代わりに、若干の演劇全般の知識は求められたかな…本めったに見ないから難易度が高いかもなぁ。特に歌舞伎と新劇の境目が薄いってあんまり知らないよねぇ(そこはこの本で十分わかるけどね)。あと荷風さんの女性遍歴…数も多いけどすぐ逃げられるのね…。2018/01/17
Shigeo Torii
0
努力は、惜しまず!さりとて、凡人には、、、。2014/06/27
筋書屋虫六
0
実は芝居者になりたかったという裕福な名家育ちのドラ息子・荷風先生と若くして座主となり劇界の命運を背負って立つ左団次丈の濃密な交流。女性との交際はいいとこ2.3年、長くて5年、でも左団次丈とは30年以上も親交を暖めていたという荷風先生の純情な一面が照射されて面白い。そしてもうひとつ、ここには黙阿弥以後の芝居の世界が浮き出されているのも興味深い。文士たちの芝居への興味と介入、新しい小屋と実験的な芝居の創造、戦争の進行…この時代にはまだ歌舞伎は古典芸能ではなかったんですね。2010/05/13
Masafumi Takahashi
0
永井荷風と二代目市川左団次との交友に焦点を当てている所が珍しい。大正、戦前までの日本演劇史を補完する読み物としても興味深い、意義のある好著。2019/05/25