内容説明
あのころ、袖ふりあった人々の、忘れえぬ思い出、身辺さまざまにまつわるエピソード、あの風景、この食べものに関する、懐かしい記憶の数々が、まざまざとよみがえる。なにものにもかえがたい、芳醇の一期一会。珠玉の最新エッセイ集。
目次
1 忘れえぬ人びと(笑顔の理由;リヒターの顔;父親譲り ほか)
2 身辺さまざまの思い出(百年後にひらくタイムカプセル;文章を練る;気は心 ほか)
3 食べものや風景(山いも;指のしぐさ;母の手料理 ほか)
著者等紹介
出久根達郎[デクネタツロウ]
1944年、茨城県生まれ。作家、古書店主。1973年より古書店「芳雅堂」を営むかたわら文筆生活に入る。92年、『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞を、翌年、『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Susumu Kobayashi
4
古書店主にして直木賞作家のエッセイ集。「それぞれの事情」は、飼っていた愛犬を住まいの都合で手放さざるを得ず、故郷の老母に預けた人の話。帰省のたびに母や近所の人におみやげを持っていったが、預けた犬がよそよそしい。自分にはおみやげがないのでむくれてしまったのだというのに笑ってしまった。犬も猫も同居していると人間的な感情を抱くようである。2020/07/29
wasabi
1
長閑で心豊かで清貧で、どこまでも優しい人柄が溢れている。飾らない作家の書いた飾らない文には、相変わらず少しモノ足りなさを感じるけど、それがこの人の魅力なんだなぁ。2006/07/29