内容説明
父の声が聞こえる熊野の闇から、路地の奥から…父の心、父の愛、父との絆そして父の死―書くことの“いのち”を受け継いだ光輝く日々の軌跡。
目次
私の原風景「国道四二号線」
父の残映(父からの手紙;グリーン・ルーム;夢の貌 ほか)
熊野の胎動(蝉の絵日記;波の輝きよりも濃く;ミント色の衝動 ほか)
路地中上文学の預言(『鳳仙花』と父;「秋幸三部作」におけるパラレルワールドの父なるもの;父と私と南の足音)
著者等紹介
中上紀[ナカガミノリ]
1971年東京都生まれ。ハワイ州立大学美術学部卒。作品に『彼女のプレンカ』(第23回すばる文学賞受賞)などがある
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感想・レビュー
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ただのわたし
2
三重県には伊勢神宮もあり、神様とつながる気配が色濃く残っているのかもしれないな…と思った。作者の父・中上健次の作品はまだ読んだことはないのだけれど、小説のなかの登場人物と父の人生をなぞってゆく後半部分は深く読み入ってしまった。ここで言う旅とはまさに、父の背中を追いかけてゆくものなのだろうな。2019/12/08
T・Shirai
1
中上健次の『枯木灘』を挫折しかかりながらも読み切った時の感動が蘇ってきた。秋幸三部作、また読みたくなってきた。2016/03/24
wanted-wombat
1
紀さんによる、父健次の回想録。それぞれのエッセイは包括的に書かれたものではないため、重複する箇所も見られる。子煩悩な中上健次にほわっとした。2014/08/23
hiratax
0
(2005)実娘による中上健次の回想録。2005/04/04
charuko
0
中上健次の娘で、作家の中上紀が、父としての健次について書いたエッセイをまとめたもの。娘による作品評も興味深いが、熊野やアジア以外、ロスやハワイなどアメリカに惹かれた頃の健次を内側から描いた文章は貴重。2012/03/15