内容説明
気鋭の歌人が時空を超えて“人間”世阿弥の足跡に挑む連作百首が織りなす詩劇。
目次
序歌
みづ
花伝
春
高砂
清経
井筒
重荷
砧
融〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
40
作者が世阿弥のことを詠んだ100種の短歌を収録。歌舞伎や世阿弥のことは詳しく知りません。さらに古語が自由に使われているので、分かりにくいところがあります。それでも、この歌集は心に強く響きます。強い情念と作者一流の美意識を感じる歌集です。作者の情念は時間を超えて、世阿弥の心に寄り添おうとしているようにも感じます。好きな一首を引用します。「生誕の世阿弥に射せるうすひかり永くくるしく生きよといへり」芸術家として生き続けることは容易ではありません。それでも、そんな人生を歩んだ世阿弥への賛歌だと感じました。2024/12/15
双海(ふたみ)
9
詞書に「2003年4月8月、靖国神社夜桜能にて「清経恋之音取」上演。シテ梅若六郎、笛松田弘之。」とある。「夜桜能音取の笛の絶え間きく 幾夜つづかむ冥界の婚」水原紫苑は、取るに足らぬ現代短歌とは一線を画す歌風ですね。2013/12/29
garyou
3
『百人一首うたものがたり』を読んで、芝居好きの歌人だと知り手に取った。演じる端見る端から消えてゆく舞台を詠んだ歌がいい。こうして残してゆけるんだな。ただ、自分の好みと合うかどうかはまた別問題ではある。ほかの歌集にもあたってみたい。歌右衛門が好きらしいし。2023/03/14
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