内容説明
満洲という大地に生きたさまざまな民族と人間の知られざるドラマを中国の女性作家が初めて描く！描き下ろし挿画２１点収録。
目次
第１章 一九三二年（民国２１年・昭和７年・大同元年）
第２章 一九三三年（民国２２年・昭和８年・大同２年）
第３章 一九三四年（民国２３年・昭和９年・大同３年・康徳元年）
第４章 一九三五年（民国２４年・昭和１０年・康徳２年）
第５章 一九三六年（民国２５年・昭和１１年・康徳３年）
第６章 一九三七年（民国２６年・昭和１２年・康徳４年）
第７章 一九三八年（民国２７年・昭和１３年・康徳５年）
著者等紹介
遅子建［チーズジエン］
１９６４年、中国黒龍江省漠河北極村に生まれる。１９８１年、黒龍江省大興安嶺師範専門学校に入学。中国作家協会魯迅文学院を修了。１９８３年から執筆活動を開始。第一回魯迅文学賞、女性文学賞等を受賞。中国作家協会会員。現在はハルビン在住
孫秀萍［ソンシュウピン］
１９６２年、中国黒龍江省チチハル市に生まれる。１９８４年、中国燕山大学（元東北重型機械学院）工学部卒業。１９９０年、夫の日本留学で来日。現在は東京で中国語新聞の記者として活躍中。日本や中国の新聞や雑誌にも寄稿
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感想・レビュー
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松本直哉
20
満月の夜の家族の団欒、身ごもった妻と夫の親密な語らいの詩的な美しい描写。それだけになおさら翌日の大虐殺の悲惨に言葉を失う。平頂山の死屍累々の中から辛うじて生き延びた少年楊浩をはじめ、数多くの人物が現れては消える。編年体の叙事詩の体裁で歴史上の出来事を織り込みながら、自らも満洲出身である著者が、日本統治下の庶民の生活を愛惜をこめて描き出す。抗日ゲリラ、七三一部隊、少数民族の神秘的な風習...五族協和と言えば聞こえはいいが平穏に暮らしていた人たちを追い出して日本語を強制する統治のなかには正義のひとかけらもない2017/06/15
saga
1
満州国現地に暮す様々な人達を主人公にした話し。 不幸な生活感が漂っている。 2019/04/30
Lilas
0
100ページも進まないうちに、虐殺の悲惨さにたじろぐ。ただその後は登場人物盛りだくさんの群像劇風になってちょっと印象が変わる。日本の中国侵略は誤ちだし、またそれをきちんと語り継いでいない（満州は歴史の授業でちょびっとした触れない）ことも問題と思うけれど、ここに描かれた日本人は日本名をもった中国人としか思えず。憎悪の対象だからなんでしょうけど、日本人の心象が全く描けていないので、こちらにはすとんと入って来ず、文学としては疑問符。また人間は受けた虐待をまた別の方向に向けているのも事実なわけで。難しいね。2021/10/09
