内容説明
揺蕩う若者たちの「個」の「心」に希望はあるのか?若き女性歌人の波うつ韻律―心彷徨う青春歌集。第44回「短歌研究新人賞」受賞作「逃げ水のこゑ」30首収録。
目次
さびしき乳房
メタリック
ぽるとがる
牡丹雪
秋風を生む
横向きの自画像
雨の冠
中世の冬
爪も桃色
初夏のロマラン〔ほか〕
著者等紹介
小川真理子[オガワマリコ]
1970年3月15日、東京都品川区に生まれる。89年頃より作歌を開始。94年、竹柏会「心の花」に入会、佐佐木幸綱氏に師事。99年、明治大学大学院文学研究科仏文学専攻博士前期課程修了。現在、仏語非常勤講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
9
揺蕩う若者たちの「個」の「心」に希望はあるのか?若き女性歌人の波うつ韻律―心彷徨う青春歌集。第44回「短歌研究新人賞」受賞作「逃げ水のこゑ」30首収録。「ゆふぐれのバス停に雨宿りしてこの町に住むひとを見送る」「砂の舟にあづくるほかなき言の葉は水底で歌になる日を待てり」「深海の朱き珊瑚の剥き出しのなさけなきまで人欲る心」「表情をつくれぬことの美しさみどりごはぽーつと存在しをり」「われにできる優しさだらう車窓より海が見えても君を起こさず」2023/07/09
すずき
2
短歌研究新人賞を受賞した作者の第一歌集。といっても刊行は13年前。言葉の歌に目が行きがちですが、恋愛の歌にも光るものがあります。頻出する「鏡」や距離の概念。ストレートに書かれる寂しいという言葉。最近の新人賞(短歌研究新人賞に限らず)を見ていると、やや平板かつ整いすぎている印象もうけますが、十分瑞々しく、新しい発見もあり、第一歌集らしく作者の方向性がよく出ている歌集。2015/07/28
ラピニ
1
さすが、言語を扱ってらっしゃる方だけあって、ところどころちりばめられたフランス語の面白さだけでなく、日本語にも重厚感がありました。だからこそ、たまに感情のほとばしるままに詠んだ歌に出会うとドキッとさせられました。2010/12/01