内容説明
ラジオが一家団欒の中心にあったあの時代…。ラジオドラマに惚れ、「架空実況放送」「おらァ三太だ!」ほか数々のドラマ、バラエティー番組で戦後の日本人の心を勇気づけつづけた放送劇作家のユーモアあふれる回想録。
目次
そこが愛しい
放送の世界へ
米国産ラジオドラマ進駐
ラジオドラマを創る―NHKへ
日本ラジオドラマ事始め
NHKの三よし
東京放送劇団、戦中戦後
声の人々
脱線―テレビ『私だけが知っている』大冤罪
話芸名人徳川夢声老〔ほか〕
著者等紹介
西沢実[ニシザワミノル]
1918年1月2日生まれ。八四歳。1948年、中央大学法学部卒業。終戦時、陸軍戦車隊長で中尉。戦後、放送劇作家。NHK嘱託作家として、『架空実況放送』全作品ほかラジオドラマ、バラエティー番組等の脚本を執筆。日本大学芸術学部放送学科講師として脚本の講座を四〇年近く担当。2000年、論文『創始期ラジオドラマとラジオドラマのことばの研究』で芸術学博士。前、日本放送作家協会理事長。現在、財団法人放送番組センター理事。NHK全国高校放送コンテスト(ドラマ部門)審査委員長。紫綬褒賞受賞(1984年)、勲四等旭日章受章(1991年)、NHK放送文化賞(1996年)受賞
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
53
著者を全く知らなかったが、ニセ者が出現したほどのラジオ劇作家とのこと。個人的なラジオドラマのエピソードを綴ったエッセイ。古い話を発掘していて資料価値は高い。何と84歳での刊行。シャレの大好きな人らしく、随所にオヤジギャグが。関ヶ原の石田三成に「追うてくるとは思っていたが、そうか、NHKか」と言わせたのには爆笑。FMの「青春アドベンチャー」も、黄金時代の恩恵を受けているわけだ。2019/06/13
misui
4
NHK嘱託の放送作家として往年のラジオドラマに関わった人物による回顧録。ラジオドラマ創始期の研究者でもあってラジオドラマ事始めに関してはやや詳しいが、おおよそは関係者とのエピソードにページが費やされている。ラジオドラマは文字言語(書き言葉)ではなく音声言語を用いて聞き手の幻想を呼び起こす分野(テレビより受け手の協力を必要とする)で、便宜上は脚本にまとめられるが実態は音の上にある。本書も砕けた調子で著者の肉声が伝わってくるようだった。2014/06/02