内容説明
1945年8月20日、樺太の港町真岡にソ連軍が突然侵攻、一瞬にして町は殺戮略奪の修羅場と化した。8月15日の日本降伏後に、なぜこのような悲劇が起こったのか。当時三歳だった娘が、父の遺した克明な記録を手がかりに、50年の歳月を遡って事件の真相に迫る、衝撃のノンフィクション。蓮如上人滅後五百年記念・ノンフィクション文学賞。第二回蓮如賞優秀作。
目次
1 戦場となった真岡
2 日ソ砲撃戦の検証
3 ソ連軍進駐時の真岡町
4 ソ連軍による執拗な追跡
5 ダスビダーニャ、わが樺太
6 振り子のようなサハリン
感想・レビュー
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やん
1
1945年8月20日、樺太の眞岡町はソ連軍の侵攻を受け、戦争は終わった筈なのに町は修羅場と化した。当時3歳だった著者が父の回想録を縦糸に、母や兄姉へのインタビューを横糸に、当時の体験を立体的に甦らせる。ソ連軍にやられるくらいならと子供や家族に手をかけ自刃する隣近所の人たち。第2回蓮如賞を受賞し1996年に出版された本書の著者はアメリカでジャーナリズムを学びエッセイストやアートディレクターとして活躍した女性。蓮如賞選考委員五木寛之氏曰く「乱暴な構成」であるが文章はとても読みやすい。樺太の歴史を初めて知った。2021/09/26