内容説明
友だちから仲間はずれにされないために、ゆたかは小さな店からファミコンを盗んでしまった。受験のことしか頭にない親たちを前に、自分の罪を告白できないゆたかは、ふかいなやみをかかえたまま、ひと夏を田舎のおばあちゃんのところですごすことになる。そんなゆたかを待ちうけていたのは…。
目次
ユリカモメ
夢
捨て猫
ツバメ
梅雨明け
つき鉄砲
こだま
嵐
虫の音
ゆたかは鳥りなりたかった
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
著者の生き様を学ぶ庵さん
29
娘の課題図書。母から押し付けられた受験勉強から逃げたい小五男子が主人公。古本屋のファミコンカセットを万引きし、祖母・両親および古本屋店主に告白するまでの葛藤と心の成長。いかにも娘が好きそう。また、受験産業が国語の長文問題に使いそう。筆者の笹山久三は四万十川シリーズで文藝賞・坪田譲治賞を受賞したらしい。2016/11/05
mannma
1
子供が塾の教材で、一部を読み全部読みたいというので図書館で借りた。子供が何度も読み返していたので、私も読んでみた。ウチの子もまさに主人公と同じ「中学受験生」。主人公は、母は「見栄」のために受験をさせ、父は「自分のため」だけに行動すると感じている。友人のゲーム仲間に入るために「万引き」をする主人公。夏休み田舎に預けられ、冒険を通じて「自我」に目覚める。この本を読んでウチの子がなにを感じているのかが少し分かったような気がした。今日、塾のお迎えに行くときに、車の中で私がこの本を読んだこと、そしてなぜ受験をさせた2012/11/18