謎のカスパール・ハウザー

種村季弘

河出書房新社（1983/12発売）

• サイズ B6判／ページ数 361p／高さ 20cm
• 商品コード 9784309003542
• NDC分類 916

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[市太郎]

闇の穴の中で長期間、過ごしたカスパール・ハウザーの謎を追う。種村氏は彼の足跡を追い、論理的に時にフロイト的に、綿密な資料調べのもと、多方面から彼の闇の真実を構築していく。カスパール・ハウザーとは何者であったか。その「穴」を見つめると、どんな言葉も空虚の中に吸い込まれていくかのように意味を失う気さえした。彼の孤独は帰結することなく終焉を迎え、人は彼の存在に定義付けようとバーデン大公国の王位継承権を巡っての血で血を洗うような闇の争いを推論する。それすら無意味。久しぶりにスリリングで重厚な読書。揺さぶられた。

2014/12/13

[Sensyuraku]

全部を解明できる説を組んでる。ここまで来るとほとんど小説では？と思わなくもないが面白い！幅広くネタを収集するのが流石種村季弘。さらにカスパールを一つの現象と見て言語・秩序・エディプスについて語ってもいる。スゴイ。

2017/03/29