感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
19
【富岡さん追悼読書3】登場人物の名前は毎度違うので気がつかないかもしれないが、人物同志の関係が繋がり、一つの家族の歴史を描いている。中年になった「私」が日曜日の動物園で、柵の彼方の動物と、こちら側は人間の双方親子連れの「新家族」を観察するうちに、自身のかつての見合いの破談を思い出す…というところから、母親の葬儀で5人兄弟が集まり、母の秘密をポツリポツリと話す「斑猫」までの9編の小説。への字口みたいな富岡さんの語りは、自身の生い立ちにルーツがあったのか。母の寂しさを一番理解していたのか。2023/04/27