千年の愉楽

中上健次

河出書房新社（1982/08発売）

• サイズ B6判／ページ数 243p／高さ 20cm
• 商品コード 9784309001739
• NDC分類 913.6

感想・レビュー

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[スターライト]

和歌山県新宮市の「路地」と呼ばれる地域に住む中本の一統をオリュウノオバと呼ばれる女性を狂言回しに綴る短篇集。中本の一統の男たちは美男や男性的な魅力があり、女性を虜にする男ぶり。また男衆を惹きつけるものがあり、リーダーと仰ぐものもいた。しかし一時的な輝きは放つものの、みな若死にする運命を持っていた。「路地」で取り上げたことのない者はない産婆役のオリュウノオバ、人生の最期を看取る夫の坊主・礼如や一癖も二癖もある男たち、奔放な女たちの織りなす人生の「愉楽」は、まさに千年続くのかと錯覚する。

2024/08/04

[鏡子]

随分前に映画を観た。特にきっかけはなし。産婆が象徴する菩薩のような母性に引っ掛かりを覚えて原作にあたる。久々の小説。一文一文の長さに面食らう。ラストのほうのとある行為について「冗談でした〜」と（も？）取れる書き方にこっそり安堵してしまい反省。昨今は毎年取り沙汰される過去の虐殺について触れられていて、新日本人という言葉を知りググるなどした。

2024/10/31