内容説明
好きな男を追いかける大胆で向うみずなお三輪。子ゆえの闇に迷うお幸。夫の単身赴任中、ふとしたはずみで不倫に走るお種。見栄っぱりで頼りない男にほだされ、滅びの道を歩む梅川…封建制度の枠の中で、受身ながら精一杯生きるヒロインと、現代の女性たちの何と共通項の多いこと。ポピュラーな演目から50人のヒロインを選んで、あらすじと共に魅力のポイントを探る。絶好の歌舞伎入門書。
目次
お嬢さまとギャルたち(お光 新版歌祭文―あの日はもうかえってこない;清姫 日高川入相花王―燃えさかる嫉妬の炎に身を焼かれ;お里 義経千本桜―煮えきらない優男の正体は…;朝顔 生写朝顔話―深窓の令嬢、一目惚れの恋のゆくえ;おみの 元禄忠臣蔵―愛はまことか偽りか ほか)
妻として母として(おさん 心中天網島―夫の愛人に文をしたためた妻の決意;おとく 傾城反魂香―夫の才能を信じ一心同体の気ばたらき;相模 一谷嫩軍記―身代りに討たれた子、討ったは夫;玉手御前 摂州合邦辻―継子に恋をしかけた理由は…;お峰 怪異談牡丹燈籠―大金につられて恩人を裏切ったものの ほか)
江戸のキャリアウーマン(揚巻 助六由縁江戸桜―江戸っ子の美学そのままを生きた女;お菊 番町皿屋敷―信じてはいても心の奥を確かめたい;梅ケ枝 ひらかな盛衰記―花よりいっそう花らしく;尾上 加賀見山旧錦絵―異例の出世。それが反感をかって…;梅川 冥途の飛脚―しっかり者の遊女が選んだ滅びの道 ほか)