出版社内容情報
抗がん薬を安全に使用するためには、患者の副作用管理のみならず、医療従事者の曝露対策も重要である。本ガイドラインでは、職業性曝露の基本的知識と、抗がん薬の調製・投与・廃棄などの場面で必要な曝露対策について、解説されている。国内外の状況の変化を踏まえ、新たな臨床疑問に対応するためにCQを8件から20件に増やし、より具体的な曝露対策を示した待望の改訂版である。
【目次】
第1章 ガイドラインの概要
I ガイドライン作成の背景
1 2015年版作成の背景
2 2019年版改訂の背景
II 重要な用語の定義
III 目的
IV 対象集団
V 利用者
VI 使用上の注意事項および特徴
VII 作成の方法、過程
1 概要
2 背景知識
3 クリニカルクエスチョン(CQ)
4 システマティックレビュー(SR)の手順
5 系統的文献検索とスクリーニング
6 エビデンスレベルと推奨の強さ
7 妥当性の検証
VIII モニタリングや監査のための基準
IX 今後の改訂
X 利益相反
第2章 背景知識と推奨・解説
I がん薬物療法におけるHazardous Drugs(HD)の定義
1 危険性の高い医薬品に関する用語におけるHDの定義
2 海外のガイドラインにおけるHDの定義
CQ1 NIOSH HDリストに掲載がない分子標的薬に対しても曝露対策が推奨されるか
II HDの職業性曝露による健康への影響
1 HD曝露による有害事象と影響を与える要因
2 生物学的影響
3 健康への有害な影響
4 曝露予防の影響
CQ2 HDの職業性曝露による生殖への影響に対して、HDの取り扱いを避けることが推奨されるか
III 曝露経路と機会
1 HDの曝露の経路
2 曝露の機会
IV 曝露対策
1 推奨される環境・物品等
1) 生物学的安全キャビネット(BSC)/アイソレーター
2) CSTD
3) 個人防護具(PPE)
2 各場面における曝露対策
1) 調製時(注射・内服)の曝露対策
CQ3 HD注射薬の調製時にBSCまたはアイソレーターを使用することが推奨されるか
CQ4 静脈内投与以外のHD注射薬は、BSCまたはアイソレーター(CACI)を使用して調製することが推奨されるか
CQ5 BSCなどの使用状況下において、すべてのHDの調製に対してCSTDの使用が推奨されるか
CQ6 HDの調製者に対し、PPEの使用が推奨されるか
CQ7 毎日のBSC内の清掃に分解薬(次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、オゾン水、近紫外線反応型光触媒法)を使用することは推奨されるか
CQ8 シュリンク包装されたHDバイアルを使用することは曝露対策において推奨されるか
2) 運搬・保管時の曝露対策
CQ9 HDの調製者だけでなく、HDの取り揃え者、運搬者、鑑査者およびHD調製室の清掃者に対してもPPEの使用は推奨されるか
CQ10 HDの外装に触れる際はPPEの使用が推奨されるか
3) 投与管理時の曝露対策
CQ11 HD静脈内投与時のルートにCSTDを使用することは推奨されるか
CQ12 HD静脈内投与管理にCSTDを使用していても、PPEを使用することが推奨されるか
CQ13 HDの腔内注入において、CSTDやPPEを使用することが推奨されるか
CQ14 HDの投与管理を行う環境や床清掃の際には、界面活性剤の使用が推奨されるか
4) 廃棄時の曝露対策
5) 投与中・投与後の患者の排泄物・体液/リネン類の取り扱い時の曝露対策
CQ15 HDを投与した患者の皮膚に接触する場合の曝露対策として、PPEの使用は推奨されるか
CQ16 HDを投与した患者に使用したリネン類で明らかな体液や排泄物などの汚染が見られる場合は、区別した取り扱いをすることが推奨されるか
6) HDがこぼれた時(スピル時)の曝露対策
CQ17 HDが飛散、こぼれた時の不活性化に次亜塩素酸ナトリウムの使用は推奨されるか
V 職員がHDに汚染した時
VI メディカルサーベイランス
CQ18 HD曝露の把握のために定期的な環境モニタリングは推奨されるか
CQ19 HD曝露の把握のために定期的な生物学的モニタリングは推奨されるか
CQ20 曝露状況の把握のためにHD取り扱い歴の記録は推奨されるか
VII 職員の管理・教育・研修
1 職員の管理
2 HDの安全な取り扱いに関する教育・研修
VII 在宅におけるHD投与患者のケア
1 家庭におけるHDの環境汚染および曝露の経路
2 HDの安全な取り扱いについて
3 HDが排泄されている期間の日常生活について
資料編
資料1 文献検索式
資料2 本邦注射抗がん薬の生殖発生毒性試験と排泄率
資料3 本邦内服抗がん薬の生殖発生毒性試験と排泄率
資料4 IARC発がん性リスク分類