出版社内容情報
《内容》 最近,日本でもevidence-based medicine(EBM)が重要視されているが,その点では乳癌の外科はほかの癌の外科を圧倒的にリードしている。外科医は乳癌の専門医であるか否かにかかわらず,乳癌の診療に携わる以上,乳癌の手術療法を正しく理解する必要がある。乳癌の専門医でないという理由で時代遅れの治療が患者に許容されるわけではない。
乳癌に対する戦いには戦略と戦術であり,乳癌の生物学的特性に基づいた合理的な考え方(戦略)により,実際の治療(戦術)を行うことが重要である。本書は,『乳癌外科の最前線-その戦略と戦術-』と題されているように,乳癌の最新の外科治療についてその戦略と戦術を述べたものである。乳癌の診療に携わっている,あるいはこれから勉強したいと考えている外科医必読の書としてお勧めしたい。
《目次》
■乳癌の手術と集学的治療
乳癌の生物学に基づいた外科的治療/手術療法と放射線療法,その概念と歴史/乳房切除術の適応とその実際/乳房再建術とskin-sparing mastectomy
■乳房温存療法
乳房温存療法に関する臨床試験/乳房温存療法における切除範囲の診断:画像診断と組織診断/乳房温存療法の適応と問題点/乳房温存手術の実際/乳房温存再建術(breast-conserving reconstruction)
■新しい局所療法
乳癌に対する内視鏡補助下手術,その意義,実際と問題点/乳癌に対する低侵襲療法
■乳癌手術におけるリンパ節郭清とその意義
リンパ節,その転移と生存率/リンパ節郭清および放射線療法に関する臨床試験/リンパ節郭清の意義/領域リンパ節に対する放射線療法/腋窩のリンパ節郭清および放射線療法に伴う合併症/リンパ節転移の術前診断/リンパ節転移の術中診断
■センチネルリンパ節生検
センチネルリンパ節生検の概念,歴史および妥当性/センチネルリンパ節の同定(1)/センチネルリンパ節の同定(2)/センチネルリンパ節の転移診断(1)/センチネルリンパ節の転移診断(2)/センチネルリンパ節生検の適応と腋窩リンパ節郭清の省略/センチネルリンパ節生検に関する臨床試験とその意義
目次
第1部 乳癌の手術と集学的治療(乳癌の生物学に基づいた外科的治療;手術療法と放射線療法、その概念と歴史 ほか)
第2部 乳房温存療法(乳房温存療法に関する臨床試験;乳房温存療法における切除範囲の診断:画像診断と組織診断 ほか)
第3部 新しい局所療法(乳癌に対する内視鏡補助下手術、その意義、実際と問題点;乳癌に対する低侵襲療法)
第4部 乳癌手術におけるリンパ節郭清とその意義(リンパ節、その転移と生存率;リンパ節郭清および放射線療法に関する臨床試験 ほか)
第5部 センチネルリンパ節生検(センチネルリンパ節生検の概念、歴史および妥当性;センチネルリンパ節の同定 ほか)
著者等紹介
野口昌邦[ノグチマサクニ]
1969年金沢大学医学部卒業。米国空軍病院(立川市)にてインターン修了。1970年金沢大学医学部第二外科入局。1975年金沢大学医学博士。1985年4月~1986年1月文部省長期在外研究員としてNew YorkのSloan‐Kettering Cancer Center記念病院の乳腺外科に留学。1987年金沢大学医学部附属病院手術部助教授、現在に至る。1992年日本乳癌学会評議員。1996年6月~2004年6月日本乳癌学会理事ならびに日本乳癌学会英文機関誌「Breast Cancer」の編集委員長。1998年6月~2000年5月日本乳癌学会第4回班研究『腋窩リンパ節転移を予測する因子に関する研究―画像診断、分子生物学的因子等からのアプローチ―』の班長。2004年6月~現在、日本乳癌学会副会長(理事)。World Society of Breast Health国際教育委員会委員、日本内分泌外科学会評議員、日本臨床外科学会評議員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。