内容説明
干ばつに苦しむ二〇〇万の農民を救済し、中部地方の農業・産業・文化の一大原動力として賞讃される歴史的事業。戦後日本を代表する初の大規模総合開発プロジェクト、“愛知用水事業”のノンフィクション。
目次
教官浜島辰雄と農民久野庄太郎
決断と出会い―畢生のライフワークへの道
「愛知用水」と命名―あくまでも農民運動として
天地の歌―農民が政府を動かす
日本型“TVA計画”への挑戦―民の声は天の声1
運動の双曲線“積極推進と絶対反対と”―民の声は天の声2
Bankable!(融資可能にせよ!)―世銀借款交渉1
交渉の厚い壁と公団の成立―世銀借款交渉2
久野の倒産、巨額な水没公共補償、そして着工
アメリカ流技法と精神、犠牲者、そして久野の誓い
延長戦の許されない総力戦
愛知用水ついに完成―大地に生きる人々
著者等紹介
高崎哲郎[タカサキテツロウ]
1948年栃木県生まれ。NHK記者、帝京大学教授、東工大などの非常勤講師を歴任。作家・土木史研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もえたく
12
中部地方最大の水の人工動脈「愛知用水」。戦後、干ばつで苦しむ知多半島で、篤農家の久野庄太郎と農業土木技術者浜島辰雄らが始めた愛知用水プロジェクトは、時の首相吉田茂への直談判、世界銀行からの融資など、徐々に大きな唸りとなり実現に漕ぎつげる。がその過程での艱難辛苦は尋常ではないものだった。プロジェクトXでも取り上げられた事がよく分かる内容でした。2025/04/07
naka
5
愛知用水完成までの歴史書。自分はよそ者なので、この本を読んで初めて知った。すごい!13年かけ、国家プロジェクトとして外国資本も投入、新しい技術もバンバン導入して苦難を乗り越え完成。完成後の農家負担金の話も考えさせられるものがあった。どこまで本当か聞いてみたい気もする。読んでよかった。農畜産業に係わる者は、その土地の歴史も知った方がいいかもしれません。自分が今関わっているプロジェクトにも既に色んなドラマがある。自分だけの記憶にしとくのももったいないから、いつかを夢見て伝記風に記録しておこうかなwなんて2016/04/19
三浦正
1
愛知用水の通水は1961/09/30 60年以上前のことであるが、事業構想立案→実現運動を強力に推進した尽力者 現知多市生れの篤農家 久野庄太郎らの活動等を紹介した中日新聞記事を読み、現豊明市生れの農業土木技術者(当時は安城農林学校教員)浜島辰雄が1948/7に会いに行った所から始まる展開は感動的であった。 そして、翌8月 現豊明市生れの農林省開拓局長伊藤 佐 の墓参帰省の折 3者面談を豊明市農業協同組合理事長三浦青一(私の伯父)が農協広間でセットしたと書かれていた。そして、、、 2023/04/27