内容説明
建築家でデザイナーのエットーレ・ソットサスは、第2次大戦以来のイタリアのデザインのめざましい成果を一身に要約しているといっていい。この国の多くのデザイナーたちと同様、彼もまた建築家としての教育をうけ、1950年代のはじめには、戦後復興計画の一環として、いくつか集合住宅プロジェクトを手がけた。だが、その後の彼の活躍の場は、もっぱらデザインに求められる。そのなかでもとくにきわだっているのは、産業とデザインとが彼をつうじてみごとなまでに結びつけられたことである。ところが、彼は、1980年にいたって、それまで企業のために手がけてきたモダン・デザインと突然に訣別、メンフィスというブランドのもとで、大胆このうえないポストモダンの次元に飛びこんでいく。鮮烈な色彩、思いがけない形態―それらのデザインはたちまち世界の注目を集め、それ以来、ソットサスは国際的なプロダクト・デザインの分野で、いわば台風の目となっている。こうしたソットサスの経歴がはらむパラドックスや矛盾を検証した本書は、とくに、彼の生い立ちや政治的信念が、彼のデザイン観―デザインをひとつの社会的・人間的な活動とする―をどのように形成してきたかを、ソットサス自身の言葉を豊富にとりいれながらていねいにあとづけていく。
目次
ファシズム下のイタリアで育って
「戦後」という名の未来
アメリカへの思い/インドへの瞑想
ニュー・ドメスティック・ランドスケイプ
メンフィス、そして…
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- 和書
- かごめかごめ 双葉文庫