内容説明
人間の生活と自然の営みとの関係を総合的に認識し、環境の創造・保全に関わる専門としてのランドスケープ・アーキテクチュアの重要性が一般に認められつつある。これまでの造園、建築、都市計画、土木といった専門分野のみならず、自然科学、社会科学、人文科学等との学際的な協力のもとで、より良好な都市や地域を創造し保全する試みがなされている。本書は、「自然やエコロジーに対する考え方」から「ランドスケープ・アーキテクトを志す日本の若者へのメッセージ」といったテーマに基づいた、ランドスケープ・アーキテクツへのインタビューを中心に構成されている。
目次
序章 アメリカン・ランドスケープの100年
第1章 ガレット・エクボ
第2章 ダン・カイリー
第3章 ジェラルディン・スコット
第4章 ロバート・ザイオン
第5章 ピーター・ウォーカー
終章 五人の巨匠に学ぶこと
ランドスケープ・デザイン年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TAKAMI
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ランドスケープデザインを志向する上で、教科書的な本だと大学の教授に教えられ読了。イタリアやフランス、イギリスなどランドスケープデザインのルーツはヨーロッパにあるが、モダニズム以降のそれはアメリカで発展した。そしてそれらをリードした5人の巨匠とのインタビュー。読むと、どんどん複雑化する設計界隈、環境問題やサステナビリティの対応とデザインの関係など、現代でもアクチュアルなテーマに関して言及されています。そういう意味でもこの本は教科書。この本をもとに、作品も実際に追っていこう。2016/01/18
KakeruA
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五大巨匠という存在を初めて知った。建築家とランドスケープデザイナーとの関係性がもう少し見えたらより面白かった。建築の持つレイヤーの多さを再確認。2010/01/22
takahiroyama3
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1991年出版、アメリカのランドスケープ・アーキテクトたちの100年間を追う1冊。冒頭で、この100年を「自然と人間のための豊かな環境や景観を形成するための壮絶な挑戦、つまりランドスケープ・ムーブメント」と評します。本著は5名の著名なランドスケープ・アーキテクトの語りによって構成されています。特にエクボの思想がとても刺激的に感じました。例えば、生態学の研究成果を統合することの必要性、すべての人々が適切なオープンスペースの近くに住むなど、現在では当たり前になっている事柄が多く含まれていました。2022/04/24
藤井真
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ガレット・エクボ、ダン・カイリー、ジェラルディンスコット、ロバート・ザイオン、ピーター・ウォーカーのデザイン(art)としてのランドスケープの発展をさせた思想哲学、デザインに対する姿勢を教授してくれる一冊。私のお気に入りはダン・カイリーとガレット・エクボ。特にダン・カイリーの宇宙という表現はlandに対する神秘性の表れが見て取れておもしろい。しかし五人とも考え方がそれぞれであり、その中で共通していることは予め答えを持つのではなく、自然を理解することが重要と考えている所だと思う。2018/05/17