内容説明
アール・デコの摩天楼は、アメリカの1920年代を支配したさまざまな状況のぶつかりあいの中で成長し、活気づけられていったのである。経済原則の支配VSそこからの逸脱、ハイ・アート性VSホップ・アート性、法の支配VSその積極的な活用、近代への憧れVS伝統の根強さ、etc.こうした相反する傾向の中から、さまざまなシンボリズムが形成された。実にアメリカの20年代は、独特のシンボリズムで満ち満ちた時代であった。それは、通常モダニズムという呼び名が喚起する近代とは全く異なる、「もうひとつの近代」とでも呼ぶべき時代なのであった。
目次
主題と方法
諸背景
ニューヨーク・ゾーニング法1916
新たな造形課題と可能性の模索1920~23
新たな摩天楼の出現と装飾の変化1924~25
アール・デコの二面性―全体形と装飾の結合1926~27
スタイルの円熟と変容1928~33
もうひとつの近代