内容説明
技術、自然、文学、道徳といった外在的な要因による批評を論破。建築の美を体験する喜びは人間化された量塊・空間・線を感知する「趣味」にこそ求められる。ルネサンスからバロックを総括し近代の幕開けを準備した理論書。
目次
第1章 ルネサンス建築
第2章 ロマン主義的誤謬
第3章 ロマン主義的誤謬(つづき)自然主義とピクチュアレスク
第4章 力学的誤謬
第5章 倫理的誤謬
第6章 生物学的誤謬
第7章 アカデミズムの伝統
第8章 人間主義の価値
第9章 結論
エピローグ 一九二四年
感想・レビュー
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roughfractus02
6
1914年刊行の本書は、ルネサンス以来<用・強・美>で語られる建築史の言説から美自体を現象学的還元にかける。著者は内在の美を語るH・ヴェルフリンの芸術理論から、民族・政治・社会のような外在からの言説を排し、建築史の5つの誤謬(ロマン主義的、力学的、倫理的、生物学的、アカデミズム的な誤謬)を指摘して、T・リップスの感情移入を基盤にした人間の身体機能の似姿を建築形態に投影する建築の言説を人間主義の建築と呼んだ。本書では18世紀来の美学(Aesthetics=身体学)での趣味tasteの議論が建築に適用される。2025/09/22




