内容説明
アカデミーへの宣戦布告。モダニズムの草創期、ル・コルビュジエはいかに闘ったか。最大の敵ボザールとの直接対決のドキュメント。新しい時代を切り開くために、真の建築と都市の実現のために、十字軍の結成を呼びかける。30年ぶりの改訳・復刊。
目次
十字軍(論争に提出さるべき証拠書類;ル・コルビュジエの夢幻劇;確かなこと)
ウムデンストックによる講演
解説鼎談(前川國男;藤井正一郎;井田安弘)
著者等紹介
ル・コルビュジエ[ルコルビュジエ][Le Corbusier]
建築家・画家。本名シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ(Charles‐Edouard Jeanneret)。1887年スイスに生まれ、パリで活動。1965年没。主な作品にサヴォア邸、マルセイユのユニテ・ダビタシオン、ロンシャンの教会堂、チャンディガール都市計画など
井田安弘[イダヤスヒロ]
建築家。1944年京都生まれ。京都大学工学部建築学科卒業。同大学院修士課程修了後、政府給費留学生としてエコール・デ・ボザールに学ぶ。フランス文化省環境研究所を経て、I・D・A建築総合研究所設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
1927年国際連盟設計競技に応募した作品が最も好評だったという著者は、図面がインクでなくコピーだった点を規則違反と見なされて落選した。建築史家S・ギーディオンはこの結果ら対して評価を下した古典主義を墨守するアカデミー・ド・ボザールの権威を批判し、翌年CIAM(近代建築国際会議)を発足する。両者の激しい論争を収録する本書は、ンクリートでできた近代建築を無味乾燥で職人の技術を忘却するものと批判するウムデンストックのボザール側からの批判的講演と共に真っ向から対立しつつ丁寧に反論する著者のアカデミー批判も収める。2025/06/13
ネオジム坊
0
世界最強の建築家・ル・コルビュジェは、如何にアカデミー=権威と戦ったか?についての自著。首魁ウムデンストック氏からの返信が載せてあり、その欄外の所々にはコルのツッコミが入る「愛」の一冊。(「あ、そう。」「良さそうな男だ!心を分かち合えそうだ!」)コル自身もヴィシー政権に加担し、CIAMの筆頭として活動し、国連本部などを建てんとすることに晩年執心したりと、なかなか権威に対する人間臭さを持ち、彼の『プロパガンダリスト』っぷりを十分堪能できる名著。ただし彼の俗性は常に『芸術の奇跡』のため、いうことをお忘れなく。2012/04/24