内容説明
何ゆえに建築家は、いまだに古典的なオーダーを用いるのか?原書の副題に「ウィトルウィウスからヴェンチューリまでの装飾についての探求」とあるように、本書は古典建築のオーダーについての歴史的意義を簡潔に論じた書である。
目次
第1章 比喩としての装飾
第2章 建築と供犠
第3章 神殿創建者たちの群像
第4章 女人像柱、ペルシャ人像柱のあるポーチコ
第5章 フランチェスコ・ディ・ジョルジョ、ミケランジェロ、ラファエロ
第6章 チェザリアーノ、『ドイツのウィトルーウィウス』、サンバン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kthyk
17
アナリーゼは楽譜の中の抽象的に記号化された音楽を読む作業であろうが、建築もまた抽象化されたカタチから意味を読む作業が求められている。ヨーロッパの建築家の仕事は音楽に似て、意味のないところに意味を作り出す装置を作り出すこと、と考えられている。しかし、古代ギリシャ神殿から由来した円柱と正面破風を延々と2500年間使い続けてきた彼らだが、その解釈に、説得力のある回答は与えた人間は一人として登場していないのだ。この書は「古典建築の失われた意味」を読む試み、と同時に、カタチを失った現代建築とは何かを考えさせられる。2021/09/03