内容説明
「建築は都市とは対極にあった」と著者は結んでいる。建築の延長上に展開した我が国の都市の構図にこの言葉を重ねるとその功罪が明らかにされる。「集合住宅」という名の一連の建築を眺めながら、混乱した都市の風景を真に見直す好機といえる。
目次
1 オースマンとパリ改造計画
2 ロンドンと田園都市
3 アムステルダムの拡張
4 新しいフランクフルトとエルンスト・マイ
5 ル・コルビュジエと輝く都市
6 街区の変容と空間の実践
7 型の確立とその一般化
建築 都市建築をめざして
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
モダニズム建築のトップダウン的な都市計画の批判として、住環境から都市を捉え直そうと試みる本書は、流通を重視した近代建築の例としてル・コルビュジエのユニテ・ダビタシオンを批判的に取り上げ、媒介項として街区の不在が、都市と建築の関係を分離していると主張した。住環境として街区を空間原理とし、19世紀のオースマンのパリ、ロンドンの田園都市、アムステルダムと拡張される都市、エルンスト・マイのフランクフルトのジードルンクに街区の破壊の痕跡を辿る本書は、均質化した都市を街区からの再組織化する建築のモデル構築を目指す。2025/07/25