感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
空間に自らの位置を定める(定位)際、人は安定したイメージ(シェマ)を参照しつつ知覚している。この定位される空間は左右・垂直・平行のような位相幾何学的な抽象空間と、地理・景観・都市・住居・器物のような各々の性質によって段階を成す具体的な生活空間から成る。感覚し運動する生きた身体が属するこの空間を著者は実存的空間と呼び、建築的空間をその具体化と捉えた本書は、個人の主観にも科学の客観にも偏向せず、両者がフィードバックして生成する建築を構想することによって、「いる」ことと「住まう」ことの交流として建築作品を見る。2025/07/03
nknskoki
2
空間という目に見えない形而上学について。建築は空気の塊を創る芸術。そして空気には質がある。ある人によっては住みやすい空気の質でも、違う人にとっては住みにくい空気の質というのがある。塩水に淡水魚を泳がしたら死んでしまうのと同じ。フッサールはこの空気の質のことを現象学で示唆した。以下コメント欄にて考察2020/05/23
くらひで
1
タイトルの通り、「実存・空間・建築」に関する理論書。ある場所・空間の特性は、その場所とそれを取りまく状況との相互作用の結果生じるもので、「地」と「図」との議論上にある。建築的空間の変化の速さは、その歴史を考察できるほどに緩やかでなくてはならず、それはヒューマン・スケールで実現できるという。翻って現代の日本の都市・建築を見た場合に、筆者はどのように思うのだろうか。2013/05/24
yokkoishotaro
0
まさに、期待通り。建築を現存在や機能、コミュニケーションの文脈で考えるのに非常によい議論であった。2024/04/30