感想・レビュー
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roughfractus02
8
神が降りる柱重視の日本建築史の中で、西洋のように壁で部屋を仕切る建築は戦国期の茶室に始まるという。本書は千利休、細川三斎、古田織部、小堀遠州に始まり、利休の子孫とそれ以外の茶匠とされた人々の代表的な茶室建築と共に、茶道の変遷を辿る。著者は人物論的に、茶室建築を禅をベースに構築した利休の豊臣家の絢爛さに比した二畳半台目まで空間を切り詰め方、豪商時代の茶室では再び広がり方等の権力との関係要因と、さらに個々の茶匠ごとに「侘び」の考え自体の変容を概説する。書院に近づける者か土床を加える者かで客座との関係も変わる。2025/08/14