感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
1960年代のモダニズム建築批判の時期に書かれた本書は、ル・コルビュジエを中心に線上に配置された近代建築史とモダニズム建築の機能主義自体に科学技術の歴史観を読みとり、科学主義から排除された非合理性を含めた建築の系譜的な再構成を試みる。このアプローチを著者は「存在論的」と名づけ、建築における存在とは何かを問い、建築を人間と環境の関係という観点から、建築の構成や建築の環境化という分岐しつつ絡み合う系譜を辿る。すると、従来の建築史では包含しづらいロシア構成主義やバウハウスとナチスの建築概念の齟齬等が見えてくる。2025/07/31