感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
11
包み込む建築は人間中心の機能性とは別の基準で設計されている。F・L・ライトにはアメリカの自然と人間との関係が、アアルトにはフィンランドの自然と人間との関係がまずある。壁と屋根がシームレスに連続し、工夫を凝らした人工照明が人々を包む空間は、フィンランドの厳しい冬に貴重な太陽光に包まれているような感覚になるという。本書は、アアルトの建築を白の時代、赤の時代、再び白の時代と分け、地域に根ざす独自の建築構想が深まる過程を辿る。アアルトの事務所で働いていた著者はアアルトの許可を得て本書を書いたという(1969刊)。2025/09/07
マナッティ
1
アアルトに関する建築書。所々にアアルト自身の人間性もわかる内容で面白い。 フィンランドの歴史とアアルトのデザイン思想が反映されて都市が出来上がっていった過程を感じた。 ヘルシンキに行きたくなった。2024/10/26
佐久間
1
アアルトの設計事務所の出身の方がアアルトを語った一冊。 フィンランドに行き、アアルトの建築を巡った後に読んだので、フィンランドの情景をふんわりと思い返しながら読むことができた。 彼は政治に、国に、人々に愛された建築家。日本も建築家の存在が国民に身近になればいいなと思った。 建築 ___その真の姿は、人がその中に立った時にはじめて理解されるものである2019/03/10
2n2n
1
面白いと思った話は、アアルトの出身であるフィンランドでは特に冬の日照時間がすごく短く光が乏しいので、フィンランド人にとって太陽の光は特別な意味があり、そのことがアアルトの建築空間にも影響を与えているって話。アアルトが照明設備をいろいろとデザインしたのも、フィンランド人にとって人工照明には重要な意味があるからだとか。2018/12/09
うぉ
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アアルトの事務所での勤務経験がある作者がアアルトの人となりや日常を綴った作品。アアルトの建築からは、アアルトとしての人格が滲み出ている。建築家という存在としてのアアルトではなく、1人の人間としてのアアルトに、この本を通して近づくことができる。2018/08/24