感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
近代は鉄道で移動すると風景を作り出し、写真技術の登場で現実を客観的に再現可能と信じた。が、それも一つの潮流に過ぎないと考える著者は、ラスコーやアルタミラの暗い洞窟内に生き生きと描かれた絵画に始まる本書で、個々人や集団の関心や興味(心)を通して目が現実をそう見せるのだという。空間とはアプリオリに存在するのではなく、意識とともに変容する「空間意識」である。本書は、ルネサンス初期の遠近法に見えるものを歪める演出効果を狙った可能性を指摘する等、空間の歴史を個人、集団、文化を通した解釈の不連続な系譜として捉える。2025/08/12
Metonymo
2
「もともと人間は自ら空間を占めながら、空間の中において生きている。空間というのは、いわば人間にとって外部の世界の象徴であり、空間をいかに捉えたかということは、外界をいかに受け止めたかということに他ならない。そして、芸術空間というのは、その最も端的な表現なのである」 鹿島出版会SD選書と、建築色が強いが、古代壁画・彫刻から、ギリシャ・ローマ、ルネサンス、ゴシック、世紀末、現代まで。モニュメントと建築、神の国と理想都市、新技術と芸術・建築の変容など、多彩。本書と関係ないが、国会議事堂は不思議な建物だと思った2013/06/07
ひろ
1
「もともと人間は自ら空間を占めながら、空間のなかにおいて生きている。空間というのは、いわば人間にとって外部の世界の象徴であり、空間をいかに捉えたかということは、外界をいかの受けとめたかということにほかならない。そして、芸術空間というのは、その最も端的な表現なのである。」時代背景・民族・文化、と色んな要素を絡め取って、多角的に見ていくことが必要。2017/04/10
MR直毛
0
高階秀爾による空間論。「眼に見える世界」は視覚のみでなく、見るもの知性の働きによって修正されるという立場から時代や民族固有の世界観でみた芸術空間を概観している。 過去の建築を参照する際の着眼点を学ぶことができ、タイムスリップしやすくなった。 このように見ていくと、建築の存在はどの時代においても他芸術とのかかわりの中で見ていかないと理解が難しそうである。そして、近代絵画は建築にどのような影響を及ぼしたのだろう。 2017/10/22
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