内容説明
災害復興や生活支援、環境保護の活動にデザインの力が求められている。仮設住宅、給水設備、交通インフラ、景観広告、食育菜園…かたちやアイデアに優れているばかりでなく、地域の人がみずから使える素材や技術で、コミュニティの持続的な安定を図る。社会を見つめた実践者とアイデアの数々―「空腹の人に魚の獲り方を教える」思考で描くソーシャルデザインの世界地図。
目次
建てながら学ぶ(地産レンガでつくる学校;地域の工法と材料から生まれた手づくりの学校 ほか)
想像力を拡げる(社会問題を伝えたくなる景観広告;五感で学ぶ特別支援学校 ほか)
誇りを取り戻す(「食べられる校庭」の教育革命;がん患者を受けとめる「家」 ほか)
たしかな暮らしのために(住民が修理できる石と竹の橋;水くみが楽しくなる遊具 ほか)
著者等紹介
山崎亮[ヤマザキリョウ]
コミュニティデザイナー、studio‐L代表、京都造形芸術大学教授。1973年生まれ。1999年大阪府立大学院農学生命科学研究科修士課程修了(地域生態工学専攻)。2005年studio‐L設立。数々のボトムアップ型まちづくりに参画。おもな仕事に、いえしまのまちづくり(兵庫県姫路市家島町)、海士町の総合振興計画づくり(島根県海士町)、マルヤガーデンズのリモデル(鹿児島県鹿児島市)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TAKAMI
5
山崎亮氏が世界のソーシャルデザインの歴史を概観し、主なプロジェクトをまとめる。プロジェクト紹介が多いのも魅力的だが、何よりいいのは巻末の参考文献リスト。こういう本が1冊あることは素晴らしい。大学生はみんな読むべき本。2016/07/20
日々珠
5
閉塞社会を打破するデザイン実例集。例えば外国の貧しい地域で、自転車での移動図書の実例。週二回、20〜30冊。始めると応援や寄付が集まったとか。心強くなる。2012/12/31
きゅー
4
ソーシャルデザインとは商業デザインとの対比で語られるものだ。土のうで作る仮設住宅、小学校の校庭を一部菜園にすること、台風廃材のリサイクル利用などのアイデアであり、世界の困っている人々を援助するためのデザインを指す。発展途上国における社会的な課題の筆頭が清潔な水の確保。これを解消するために南アフリカで生まれたのが「プレイポンプ」。遊具として遊べる円形のハンドルが地面に刺さっており、子どもたちが楽しみながらそのハンドルを回すと、それに連結されたポンプが地下から水を汲み上げ、貯水槽にたまる仕組みとなっている。2024/05/23
mochico
3
世界のソーシャルデザインの事例集。日本は東北の一つだけでしたが、日本にも持ってこれるのではないかと思うものがいろいろとありました。職業訓練センターなどは、建てることそのものが訓練になっているとのこと。日本でもこういう訓練をもっとできないかな。たとえばWEBの訓練でも、仕事をとってきてヒアリングして作って納品するまでのカリキュラムとか。2012/08/13
きよ
2
「カネとモノをたくさん手に入れることは、決して本当の豊かさにつながらないことにも気づいてしまった時代である」コミュニティーデザイナーの山崎亮さんが、社会問題をデザインで解決することを試みた世界の事例をまとめた一冊。地域の人たちが将来の仕事に就くための技術を学びながら学校を作ったり、がん患者を受け止める家を建てたり、水をくむための簡単なローラーが、子供が水汲みから解放し地域の識字率が上がったりと、デザインの力の可能性が詰まってるので、本当の豊かさを追うためのソーシャルビジネスに興味がある方も参考になります。2016/07/21