内容説明
日本の建築界は「技術」と「社会」と「場所」の三つの視点から、中国の動静に目を配り続けてきた。明治の時代から建築専門誌が報じた記事の数々を読み解くと、隣国を完全な他者として捉えきれない日本の姿が浮かび上がる。『建築雑誌』『新建築』『日経アーキテクチュア』に掲載された厖大な中国関連記事を渉猟しながら、つねに揺れ動いてきた日本人の中国観の変遷をたどる。日本と中国を拠点に活動する建築家による、まったく新しい中国認識の歴史。日本建築界で中国を見てきた専門家一〇人へのインタビューを収録。
目次
第1章 近現代の日本建築界における中国認識―『建築雑誌』の分析(一八八七‐二〇〇八)(『建築雑誌』の中国関連記事;『建築雑誌』の中国観)
第2章 現代の日本建築界における中国認識―『建築雑誌』『新建築』『日経アーキテクチュア』の分析(一九八五‐二〇〇八)(三誌の中国関連記事;三誌の中国観)
第3章 日本建築界の反復中国観における中国認識―三つの建築メディアに繰り返される中国観の分析(繰り返される中国観の論点と論調;繰り返される論調の傾向)
終章 日本の建築メディアにおける中国認識―未像の大国(研究のねらいと成果;研究の三つの主題についての結論;研究の結果に対する展望と考察)
著者等紹介
松原弘典[マツバラヒロノリ]
建築家、慶應義塾大学総合政策学部准教授。1970年東京生まれ。95年東京藝術大学美術学部建築科卒業、96年モスクワ建築大学研究生、97年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。97‐2001年伊東豊雄建築設計事務所勤務、01年渡中後、瀋陽市規劃設計研究院、北京非常建築研究所、北京大学建築学研究中心などを経て、05年北京松原弘典建築設計公司を設立。同年より現職。博士(環境学)。主な受賞にSDレビュー2009「SD賞」(鹿島出版会主催、2009)、「JIAゴールデンキューブ賞」(日本建築家協会主催、2011)、「日本建築学会教育賞」(日本建築学会主催、2012)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- 教育の人間学的研究