内容説明
「数学」がなかった頃の、「数」と建築との関係。ウィトルウィウス以降、再三言及されてきた比例と美を巡る議論から、古典主義、コルビュジエなどヨーロッパの伝統的視点を批判的に検討し、日本古来やアジアの建築技術との比較を試みることで、古代世界の設計技術の実相を明らかにする意欲的建築論。
目次
第1章 比例の背景
第2章 ウィトルウィウスの比例概念
第3章 数の操作・数による操作
第4章 古代の計測技法
第5章 比例・美・設計技術
第6章 勾配を巡って
第7章 幾何学図形と建築
付章 ピラミッドの設計技術
著者等紹介
溝口明則[ミゾグチアキノリ]
1951年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻博士課程中退。工学博士。名城大学理工学部建築学科教授。日本国政府アンコール遺跡救済チーム副団長。専門は日本建築史、アジア建築史、建築技術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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cocomero
1
古代における数と建築の関わりについて、当時の設計また建設さらにはそれに伴う計測といった技術の様相を解明しつつ、論じられる。今や比例や幾何学をも傘下に収める数学は、普遍的な知識と位置づけられている。言い換えれば、今日の数学概念が発生していない時代にさえ通用するものとして認識されてしまっている。そこで、現在という過去を俯瞰しえる有利な立場から、普遍的な知識と信じてやまない数学を、過去の揺るぎない分析ツールとして活用し続けてきた。結果として、過去に寄り添うことなく、独りよがりで傲慢な解釈が蓄積されるにいたった。2025/01/23
ラッテ
0
数(比例)と美の関係は一筋縄ではいかない。比例によって美を証明する試みなどは、ある程度は、批判的に見るべきだと気づかされた。あと数学の根っこの考え方に違和感がある人とかお勧めかも?