内容説明
ムスタファヴィとレザボローの共著による建築の風化を主題にしたこのエッセイは、古典から現代までの数々の建築の時間の経過による変化を現象学的見地から、建築自体の生命あるいは運命に対して深い洞察を行っている。一方、今世紀を中心に展開したモダニズムの建築に対し鋭いクリティークを提供すると同時に、そのクリティークを通じてモダニズムの建築がもつ特異性を全く新しい視点から考察している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いけ
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汚れ、シミ、、捉え方次第で良い方にも捉えられる。そういったことを理論書として1993年に出してるということに驚いた。また、スカルパに感動した。2015/09/10
りょへ
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風化を時間の中で肯定的に捉えられている。ル・コルビュジェの建築思考の変化を本の流れとし、素材感の重要性を述べ、風化についてある2つの捉え方をしている。2011/12/17
2n2n
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「建築は物体である以上、完成後も汚れ・しみなど風化から逃れることはできない。真っ白なシミ一つ無い建築を良しとするのではなく、風化は必然のものと受け入れ、自然の働きを考え、風化を建築デザインに積極的に取り入れよ」、という近代建築批判。人間のアンチエイジングの話とも共通する問題かなと思った。つまり「老いを受け入れ、いかに老いるかを志すこと」「美醜とは絶対的に区分できるようなものではない」という風に読み替えもできると思う。あと、コルビュジエさんも色々悩んだうえで大物になったんだな、ということも察せられる。2020/09/19